ソチ五輪のアイスホッケー女子、スピードスケート競技に、多くの出身選手を送り込んだ氷都・苫小牧。しかし、市内の小・中学校のグラウンドをのぞくと、教諭や父母らが水をまいてつくる通称「陸(おか)リンク」がない学校が増えている。かつて、ほとんどの学校に設置され、未来の選手育成の場でもあった陸リンクが減っている背景を探った。

 市教委によると、現在、市内全15中学校のうち、陸リンクがあるのは1校。昨年の全国中学アイスホッケー大会で優勝した市立和光中だけだ。

 一方、小学校では全24校のうち21校が設置。体育の授業でスケートが行われていることもあり、9割ほどでつくられているが、3校で設置されなくなったという。

 苫小牧アイスホッケー連盟の黒津昌風理事長は陸リンク減少の要因として《1》小中学生の競技人口減少《2》リンク作りにあてる労力や時間など、教員や親の負担が大きいこと―などを挙げる。

 同連盟によると、現在、市内小中学生の選手登録数は224人。10年前の2003年度の471人からほぼ半減した。これに伴いホッケーチームは小学生6チーム、中学生7チームと、いずれも10年間で半数以下に減少した。

 スピードスケートについては、「10年以上前は20人ほど選手登録していたが、現在は9人に減った」(苫小牧スケート連盟)。少年団も現在は小中まとめて一つのみ。今年の全道中体連スピードスケートでは、全国中体連への出場権が得られる道内24位以内に苫小牧の選手が入らず、1人も全国に出場できない異例の事態となった。

 道中体連スケート専門委員長の藤本亮さんは「少子化に加え、サッカーやバスケットボールに子どもが流れてしまった。授業や部活で教えられる教員も減り、積極的にスケートをやらせようという空気がなくなってきている」と説明する。

 市内3小学校が陸リンクの設置をやめたのは、白鳥アリーナなど市設置の屋内リンクを授業で利用できるようになったことも要因という。ホッケーチーム減少に伴い、屋内リンクの使用に余裕が生じたことが背景にある。

 ただ、北星小の陸リンクを練習拠点とするアイスホッケー少年団レッドスターズのコーチで、次男もチームでプレーする小形紀彦さん(46)は「親の負担は大きいが、子供たちを氷に乗せてあげる機会を少しでも多く、つくってあげたい」と話す。

 昨年の全国中学アイスホッケー大会で和光中が優勝できたのは、陸リンクの存在が大きいとされる。同校アイスホッケー部は、屋内リンクでの練習のほか、陸リンクで徹底的に走り込むなどして体力を強化し、全国制覇に結びつけた。

 また、子供の体力低下が懸念される中、気軽に遊べる陸リンクは体力づくりにも有効との見方もある。

 元中学校長で、ホッケーやバレーボールなどスポーツの指導をしてきた苫小牧市教育研究所の五十嵐卓二さんは「小さいころから気軽に氷に慣れ親しむことは大切だ。リンク作りは大変で悩ましいが、子供たちに挑戦するスポーツの選択肢を与えるためにも、学校にリンクがあった方が良いのではないか」と投げかけている。(石川仁美)