フィギュアスケート女子フリーは浅田真央(中京大)がショートプログラム(SP)16位から挽回し、6位入賞。鈴木明子(邦和スポーツランド)は8位で、村上佳菜子(中京大)は12位だった。アデリナ・ソトニコワ(ロシア)が優勝。連覇を狙ったキム・ヨナ(韓国)は2位に終わった。

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 こらえてきた左足小指の痛みは、不思議とフリー当日になって消えていた。今季限りの引退を表明している鈴木にとって、最後の五輪。SPに続いて満足な演技ができなかったが、心では納得している。「神様に感謝したい。最後まで滑らせてくれた。私は恵まれた、幸せなスケーターだった」

 中盤の3回転フリップで転倒するなどジャンプで魅せることはできなかった。ただ、遅咲きの28歳は「もともと自分はジャンパーじゃない」と割り切っていた。

 「オペラ座の怪人」を情感豊かに演じ、激しさと柔らかさのある曲調を体全体で表現した。痛みで十分な調整ができない中、長久保裕コーチは「やれるだけのことはやれたような気がする」とたたえた。

 結果は、摂食障害を乗り越えてリンクに立ったバンクーバー大会と同じ8位入賞。目指したメダルには届かなかったが、幕引きの言葉はよどみない。「けがを抱えて大会に出る経験もした。今後の人生に生きる」。晴れやかな気持ちで、スケート靴を脱いだ。 (小杉敏之)

◆村上、悔しい12位

 重圧を振り払えないまま、初めての五輪を終えた。気を取り直して臨んだはずのフリー。SPに続いてミスを連発した村上は「見えないプレッシャーを、五輪はすごく感じた」とうつむいた。

 1月の四大陸選手権を初制覇。身も心も乗りに乗っていたが、SPの数日前から気持ちの変調を自覚したという。4年に1度の独特な雰囲気にのまれ、本来の伸び伸びした滑りを失った。フリーも冒頭の連続3回転ジャンプを成功させたが、思うように体が動かなかった。

 山田満知子コーチは「やはり精神的なもの。自分ではそう思っていないのに、知らず知らずに彼女をむしばんでいた」と誤算を口にする。まだ伸びしろを残す19歳が、五輪を「すごく怖い大会」と肌で感じたのが、せめてもの収穫だった。 (小杉敏之)