【ソチ=本社五輪取材団】ソチ五輪第十四日の二十日、フィギュアスケート女子フリーで、前日のショートプログラム(SP)十六位だった浅田真央(23)=中京大=は、フリー三位となる自己最高点をマーク。六位まで順位を上げた。 

 浅田真央が窮地から自身を救った裏には、幼いころ習ったバレエの素養もあった。二十年ほど前、名古屋市のバレエ団「越智インターナショナルバレエ」を訪れたカメラマンは、思わず浅田に向けてシャッターを切った。りんとして、真っすぐ前を見据える視線に手が動いた。

 「あのころからオーラを持っている子だったんでしょう」。バレエ団を主宰する越智久美子さん(53)が振り返る。母匡子(きょうこ)さん=享年四十八=に連れられ姉の舞さんとバレエを習っていた。

 中学校に上がるころ、フィギュアに専念するためバレエを離れた。みるみるトップスケーターになった彼女が、再びバレエ団の門をたたいたのは二年前。バンクーバー五輪後、滑りを見直す中で「体づくりにバレエが役立つ」と考えた。

 越智さんとバレエ団所属の有名ダンサー、ワジム・ソロマハさん(39)が指導にあたり、月数回のレッスンが始まった。ジャンプや回転、手足の表現までバレエとの共通点は多い。浅田はリンクでの厳しい練習のかたわら、ワジムさんが「サムライみたい」と驚く熱心さで表現力を磨いた。

 ソチでジャンプのミスを重ねた浅田のショートプログラム。十六位に沈んだが、滑りの表現力を評価する演技構成点は四位でまとめ、フリーの追い上げにつなげることができた。

 「たくさんの人に支えられた」。フリー演技後の感謝は、越智さんやワジムさん、バレエの世界を見せてくれた母にも向けられている。 (ソチ・杉藤貴浩)