フィギュアスケート女子は24選手によるフリーが行われ、地元ロシアの17歳、アデリナ・ソトニコワがフリー1位の149・95点をマークして224・59点でショートプログラム(SP)2位から逆転優勝した。大会の華、フィギュア女子でロシア初の金メダリスト誕生だ。キム・ヨナ(韓国)は2位にとどまり、五輪2連覇を逃した。27歳のカロリナ・コストナー(イタリア)が3位に入った。

 前半のSPで16位と大きく出遅れた浅田真央(中京大)は、日本のエースらしくトリプルアクセルを鮮やかに決めるなど全6種類8度の3回転ジャンプを組み込んだ高難度のプログラムを演じ、フリーは自己ベストを6点以上上回る142・71の高得点で3位となり、6位入賞を果たした。

 前夜のSPを「とても残念で、悔しかった」と振り返った浅田は、一夜明けた午前の公式練習でもなかなか元気を取り戻すことはできなかった。だが五輪最後のフリーでは吹っ切れたように息を吹き返した。圧倒的な強さを備えていながら、弱さ、もろさが同居する。笑顔もあれば、涙もある。これが幅広くファンから支持を得る浅田らしさなのだろう。

 第2グループ、12番の滑走順。大きなプレッシャーはなかったようだ。ロシアの作曲家、ラフマニノフの名曲「ピアノ協奏曲第2番」の荘厳な調べに乗り、会場の歓声、手拍子を一身に集めた。演技を終えた浅田のこみ上げるような思いは、見守り続けてきた人々へも伝わったはずだ。バンクーバーの涙の表彰台から4年間、ひたすら挑戦し続けてきた「最高の演技」「納得のいく演技」ができた達成感が、「はい。きょうはできました」のきっぱりとした言葉にあふれていた。

 最終グループの6人を残して、浅田はトップ。「もしも」「ひょっとしたら」などという不謹慎なことを、つい考えてしまった。しかしロシア2人、米国1人の10代3選手を含む最終グループはハイレベルな好演技だった。浅田はバンクーバーの銀に続く五輪2大会連続のメダルはかなわなかったが、金色に輝くフリーの演技で締めくくり、「たくさんの方に支えてもらった。恩返しはできたと思う」と感謝の言葉を口にした。

 28歳の鈴木明子(邦和スポーツランド)はSP8位の順位を守って8位入賞。2度目で最後の五輪は「今できることはやった。ほっとしている」と完全燃焼に充実感をにじませた。19歳の村上佳菜子(中京大)は12位。初めての五輪を経験してこれからの飛躍を誓ったが、ロシア、米国などの若手の台頭のなかで日本女子は厳しい新時代を迎えることになる。

(共同通信社スポーツ企画室長 中村広志)

中村広志(なかむら・ひろし)のプロフィル

1957年北九州市生まれ。共同通信でスケート、陸上、体操、五輪などを取材。冬季五輪は1992年アルベールビルから98年長野まで3大会を取材。名古屋運動部長、運動部担当部長を経て現在、スポーツデータ部長兼スポーツ企画室長。