【ソチで運動部・遠藤享】両スキップが握手を交わし日本の敗戦が決まると、苫米地美智子(北海道銀行、福岡高)はストーンを一つ一つ片付け、最後に仲間の輪に加わった。初出場の五輪が終わったその時「勝ちたかったし、ずっしり重い気持ちが無かったわけじゃありません。何となく、今までそうしたように体が動いて」-。いつもと変わらない自分がいた。

 準決勝進出に勝利が必要だった17日夜の最終戦。3連覇を狙うスウェーデン相手にやれるだけのことはやった。ハウス手前にガードを置き、2投目で真後ろに回り込ませる正確なドロー。チーム最高のショット率84%をマークしたが、それを生かさせない相手の立ち回りが完璧だった。

 大会期間中は2度、3度と心が揺れた。セカンド小野寺佳歩の体調不良でリードと控えを行き来し、前半は調子が上がらなかった。それでも15日のカナダ戦でショット成功率9割超を記録するなど、堅実なセットアップで自信を取り戻した。16、17日は世界4位のスイス、同5位の中国に連勝。「毎日強豪と戦えるのが楽しみだった。試合自体は五輪と思わずにできた」と振り返る。

 チームの1、2投目を担い、ほとんどの時間をスイープで補助するリード。黒子役に見えるが「仲間がストーンを離した瞬間からは、それはスイーパーのもの」。自分が運ぶという気概で全投全力勝負だった。

 結成2年目。スキップ小笠原歩が「出場10チーム中最下位」と自己評価したチームが、4勝5敗と堂々の5位入賞を果たした。このチームの飛躍こそが、最後の一投まで分からないというカーリングの醍醐味(だいごみ)そのものだった。

 「カーリングの楽しさを伝えたかった。たくさんの人に見てもらえてすごくうれしい」。苫米地は笑顔で五輪を締めくくった。