スキーのノルディック複合ラージヒルで、2位となったノーマルヒルに続くメダル獲得を目指した渡部暁斗(北野建設)は6位にとどまった。

前半のジャンプは雨の中で始まった。途中から霧が立ち込めるなど視界も安定せずコンディションに恵まれなかった。加藤大平(サッポロノルディックク)が着地後に転倒し担架で退場するアクシデントもあった。それでも渡部暁は平静に飛んで134メートルをマーク。「難しい条件でもいいジャンプができた。内容は良かった」と自ら及第点を付けた。だが4位とはいえタイムに換算するとトップとは33秒差。「かなり厳しい。しっかり周りを見極めてレースをしたい」と後半の距離を前に警戒心を見せた。

レースはややスローペースで始まった。1・5キロでは7人の先頭集団ができた。4キロあたりになるとドイツ勢が下から上がってきて10人ほどに。縦にずらっと続く集団の中で、渡部暁は上位へと割り込む機会をうかがったがそのピッチは上がらなかった。コースが狭く、思い通りにスキーを走らせることができない。

状況を冷静に分析し展開を組み立てる。そんな自分の持ち味を発揮できないまま進んだレースで、突然異変が起きた。7・5キロすぎで日本のエースは転倒してしまった。雨の影響でコースが荒れたせいで、スキーを取られてしまったのか。メダルへの道はここでもう閉ざされたといっていい。急いで立ち上がり追走を始めたが及ばず、6位でゴールした。

12日のノーマルヒルは前半首位のエリック・フレンツェル(ドイツ)と6秒差で続いた2位の渡部暁が後続に30秒近い大差をつけてスタート。そのまま2人はマッチレースを演じて、銀メダルをものにした。この日は逆の立場になってしまった。「今思えば(集団を)引っ張った方がよかったのかな。あまりいいレースではなかった」。それでも、今季のワールドカップでは優勝こそないものの表彰台に5度も立っている試合巧者は、「銀メダルと6位は悪くない」と個人戦を総括した。

ソチで残されたのは20日の団体戦だけとなった。1992年アルベールビル、94年リレハンメルで連覇したのちメダルには縁のないこの種目で、有終の美を飾ることができるか。負傷した加藤に代わって湊祐介(東京美装)が入り、渡部善斗(早大)永井秀昭(岐阜日野自動車)とともに挑戦する。

(47NEWS 岡本彰)

☆岡本彰(おかもと・あきら)1947年生まれ、北海道出身。共同通信の運動部で記者、デスク、部長などの立場から1972年札幌五輪以来多くの大会報道に携わった。記者としてはスキーなどを担当し、現在は47NEWS。