【ソチ=海老名徳馬】フィギュアスケート女子のショートプログラム(SP)が19日(日本時間20日)に行われる。メダルを目指す日本の3選手は現地でそれぞれ順調な仕上がりを見せている。17日は記者会見に臨み、意気込みを語った。公式練習では、浅田真央(中京大)はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めるなど好調。鈴木明子(邦和スポーツランド)と村上佳菜子(中京大)も安定したジャンプを見せた。

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◆焦り、迷いなし 浅田

 ソチを離れた時点では焦っていた。団体戦のSPでは3位に終わった浅田。練習のため渡ったアルメニアでは「毎日完璧に滑りたいと思ってもできない」。苦しいときほど経験は貴い。救ったのは選手時代から実に11回目の五輪を迎える佐藤信夫コーチだった。

 「できる日もできない日も、焦ったり自分に怒ったりせず、しっかりと受け止めて練習しなさい」。いまさら動揺しなくてもいいだけの練習を4年間積み重ねてきた。「言われて、一番心が落ち着いた」。平静を取り戻した浅田にとって、立て直しを図るシングルでの目標は明確だ。

 「練習通り演技したい」。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に加え、フリーで予定する2連続3回転も練習では高い確率で着氷させている。いい跳躍をそのまま本番に出せば、満足する結果は自然とついてくる。

 滑走順は避けたがる選手も多い最終滑走。すぐ前はロシアのアデリナ・ソトニコワ。団体SPのときと同様に地元選手の後で、大歓声で騒然とした状況が予想される。「どの順番でもいけるように練習してきている。団体を経験して、個人戦は自分の演技に集中できると思う」。焦りも迷いもない、穏やかな笑顔が戻ってきた。

◆悔いなく笑顔で 鈴木

 4年がたち、鈴木には五輪の場に戻ってきてわかる自分の姿がある。「バンクーバーのときは右も左もわからずやるだけだった。終わったら何も記憶に残ってない」。今は違う。「4年分深みを増したと思う。最後の五輪だと思うので、悔いなく笑顔で終われたらいい」

 バンクーバーのシーズンは急激に力を伸ばし、あっという間に五輪の切符をつかんだ。それに比べてこの4年は、2012年の世界選手権では銅メダルを獲得した一方、11年は出場すらできず、13年は12位に沈んだ。

 山も谷も経て臨む2度目の五輪。「経験を積んだからこそできる自分だけの演技ができれば」。歩んできた道のりがにじみ出る滑りを目指す。

 女子シングルに出場する選手では最年長の28歳。ソチ五輪で尊敬する選手を問われて、ジャンプの葛西紀明を挙げた。「長年努力して、メダルを取った」。葛西の雄姿を、もちろん自分に重ね合わせている。

◆初五輪わくわく 村上

 いつも明るい笑顔のまま、村上は初めての五輪に臨んでいる。

 「置いていかれずソチに来られた。今も一緒にいられてすごく楽しい」

 同じ愛知県出身の先輩である鈴木、浅田と代表に選ばれたことで、リラックスした気持ちを保っている。

 1月末の四大陸選手権(台北)を制し、好調を保ったままソチに入った。悩まされてきた右足首の痛みも治まっているといい「初めての五輪でわくわくしている」。

 久しぶりという、組の中で2番目の滑走順にも「練習して、少し休憩して演技、というのはいつもの練習と同じ感覚。頑張れそう」。勢いがあるいま、何事も前向きにとらえられている。

 心身ともに不安はない。「できることは全て出せるんじゃないかと思う」。大きな舞台に、真正面から立ち向かう。