ラスト五輪を“大ちゃんスマイル”で終えた。15日のソチ五輪フィギュア男子で倉敷市出身の高橋大輔選手(27)=関大大学院、翠松高出=は6位。3位となった前回バンクーバー大会に続くメダル獲得はならなかったが、五輪フィギュアで3大会連続入賞は男女を通じて日本初だ。女子が注目を集めてきた日本フィギュア界で、男子の歴史を切り開いた第一人者は、「これが最後」と明言する五輪の舞台で完全燃焼した。

 「自分にとって最高のソチだった」。フリーの曲は、自身の山あり谷ありの競技人生を重ねたビートルズの名曲メドレー。スケートと出合ってから、この20年間を4分30秒にぎゅっと凝縮した入魂のダンスだ。採点結果は250・67点で4人を残して4位。この時点でメダルの可能性が消えたが、フィニッシュポーズの満たされた笑顔のまま何度もうなずく。昨年11月に痛めた右すねの影響には一切触れず、「これが今の実力。精いっぱいできた」と潔かった。

 この10年間、日本男子の先頭に立ち続けた。2004年に翠松高3年で世界選手権に初出場すると、06年トリノ五輪で8位入賞。だが世間の関心は、同五輪で金メダルを獲得した荒川静香さんら女子に集中していた。「男子ももっと見てほしい」。翌年の世界選手権で銀メダルを獲得すると、スポットライトは男子を照らし始めた。

 今回代表入りした町田樹(関大、翠松高出)、羽生結弦(ANA)両選手もエースの背中を見て学び、成長した。昨年末の全日本選手権では2人に完敗したが、心から「男子の層が厚くなり、うれしい」と言った。バンクーバー五輪に続いて男子代表3人が「全員入賞」を果たし、層の厚さを示した日本。その礎を築いたのは、まさにこの男だ。

 象徴的なシーンが、この日のフリーであった。高橋選手が演技を終えて笑顔でリンクを出るのと入れ替わりに、羽生選手が鋭い形相で銀盤に立った。達成感を得た27歳から挑戦心あふれる19歳へ、エースの座は託された。