【ソチ=報道部・木村敏郎】昇る陽光が黒海に輝いていた。ホテルから徒歩で5分ほど。浜辺には細かな砂ではなく、まんじゅうか拳ほどの石。海水をなめてみると、日本のそれよりも塩分は少なめに感じる。見た目は淡水のように澄み、寄せる波は穏やか。

 五輪会場一帯は厳重な管理区域内。海岸に沿うようにフェンスが並ぶ。朝8時ごろになってようやく明け初めるソチ。海辺は五輪の喧噪(けんそう)、熱狂には遠く、穏やかに談笑する釣り人たちの姿もある。

 成績が振るわなければ、メディアは潮のように引いていく。それでも、と思う。選手たちの全てを賭した挑戦は尊い。誰かの「だめだった」とひと言で片付けられない揺るぎないものが、そこにはある。その一端でも読者に届けられたらと考えてきた。

 本県選手のソチでの戦いは終わった。目の前の陽光のように、今は誰かの胸に彼らの確かな光跡が残ればいいと願う。