「やったー」「すごいぞ」―。12日夜、ソチ五輪のノルディックスキー複合の渡部暁斗選手(25)=北野建設=が個人ノーマルヒルで銀メダルを獲得すると、約120人が集まった地元の北安曇郡白馬村役場多目的ホールの特設応援会場は歓喜の大歓声に包まれた。

 前半ジャンプの結果で、後半距離10キロは暁斗選手は6秒差の2位、弟の善斗選手(22)=早大・白馬高出=は36秒差の10位でスタート。暁斗選手が1・5キロ地点で先頭に並ぶと、会場は「行けー」と大興奮。そのままトップ争いを続けると「暁斗、暁斗」とコールがこだました。ゴール直前で突き放されると悲鳴が上がったが、2位でゴールすると来場者たちは「やったー」と立ち上がって抱き合ったり、拳を突き上げたりして喜びを爆発させた。善斗選手も15位と健闘、「頑張った」との声が上がった。

 スキー競技者を多数輩出している白馬村だが、五輪メダリストは初めて。幼いころから兄弟を知る県スキー連盟ジャンプ、コンバインド部長の太田文仁さん(46)=白馬村=は、「暁斗は小学生のころから抜群のバランス感覚で、周囲に、いつかは五輪でメダルを―と期待させていたが、それが本当に実現した。最高です」と大喜び。

 暁斗選手と保育園から中学校まで一緒だった小田佳奈里さん(25)=同村=は、飯山南高校(現飯山高校)までスキー距離の選手として活躍し、現在は白馬の小学生たちを指導している。小田さんも、暁斗選手と同様に1998年の長野冬季五輪の日本代表選手たちに憧れた。銀メダル獲得の瞬間に感涙し、「あれから16年たち、今度は暁斗が子どもたちの憧れになった」。

 18日には個人ラージヒル、20日には団体も控えている。小田さんは「今回で手応えをつかんだはず。次は金メダルで子どもたちにもっともっと夢を与えてほしい」と期待を込めた。

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 渡部暁斗選手が所属する北野建設では12日夜、社員ら約100人が長野市の本社大会議室に残り、大型スクリーンに映し出される渡部選手の姿を見ながら声援を送った。銀メダルが確定した瞬間、会議室は絶叫の渦。社員らは一斉に立ち上がり、「よくやったぞー」などと叫んだ。

 仕事を終え、会議室に集まった社員らはそろいの会社の法被を身に着け、旗を振ったり、メガホンをたたいたりして「頼むぞ、暁斗」などと声援を送った。渡部選手の姿が映されるたび、「いいぞ、暁斗」「行け」などと声援を送り続けた。

 長野冬季五輪から北野建設所属選手の応援団長を務める営業部課長補佐の糸田健一さん(48)は「やりましたよ、暁斗は。ハラハラした場面はあったけれど、よく銀メダルを取ってくれた」と興奮した様子だった。社員の直江富美さんは「最後は涙が出そうだった。おめでとうと声を掛けたい」と話していた。