個人ノーマルヒルの前半飛躍(HS106メートル、K点95メートル)で2位につけた渡部暁斗(北野建設)は後半距離(10キロ)でも粘って銀メダルを獲得した。日本勢の個人メダルは1994年リレハンメル五輪銀メダルの河野孝典以来。前半トップのエリック・フレンツェル(ドイツ)が初優勝した。

 後半距離をトップと6秒差でスタートした渡部暁はすぐにフレンツェルに追い付き、2人でトップ争いを演じた。2・5キロを4周するコースの最後の周回で渡部暁が仕掛けたが、最後は競り負けた。

 渡部善斗(早大)が15位、永井秀昭(岐阜日野自動車)は22位、加藤大平(サッポロノルディックク)は31位だった。

◆先行逃げ切り的中 1位選手と絶妙駆け引き

 思い描いた展開で、悲願の銀メダルを手にした。渡部暁は前半飛躍で2位に入り、後続より20秒以上前にスタートできる権利を獲得。そこで出走前、首位のフレンツェルと話し合った。「後ろの集団に捕まりたくない。協力しよう」

 序盤で先頭集団をつくるのは2人だけ。ともにワールドカップ(W杯)で何度も表彰台に上がっている実力者。けん制し合えばスピードが遅くなり、後続にのまれる危険が高い。「だから2人で逃げたかった」。力を認め合うからできる作戦だった。

 体力の消耗が激しい先頭を入れ替えながらペースを保ち、第2集団とのリードを維持。渡部暁が残り1キロの上りで先に仕掛けたが、地力で勝るフレンツェルに終盤の直線で追い抜かれて勝負が決した。ゴール後に大の字で倒れ、「終わったという感じ」。好敵手との熱戦で完全燃焼。「僕らしい2位かな。定位置というか」。心地よい笑みを浮かべた。

 過去出場した2006年トリノ、10年バンクーバー両大会の個人戦では入賞すらできなかった。だが今季はW杯に10戦出場し、最高2位を含め表彰台に5度立っている。4年間で着実に力を付け、自信を持って「個人でメダルを取りたい」と明言した目標を達成した。

 次戦となる18日の個人ラージヒルは、複合日本勢初の金メダルに期待がかかる大一番。「もちろん勝ちにいく。いつも金狙いだから」。再びレースの主導権を握り、今度は先頭も譲らない。 (対比地貴浩)