日本時間で10日夜から11日未明にかけて行われたソチ冬季五輪スピードスケート男子500メートルで、金メダルを狙った山形市出身の加藤条治選手(29)=日本電産サンキョー・山形中央高出=は5位だった。同市の霞城セントラルで行われたパブリックビューイング(PV)には約300人の市民らが詰め掛け、声援を送った。メダルにこそ届かなかったが「最後までよく頑張った」「お疲れさま」などと、ねぎらいの言葉が相次いだ。

 2013年1月に米国で34秒21の日本記録をマークした。短距離界のエースは06年のトリノで6位、10年のバンクーバーで3位。過去の五輪では頂点に届かなかったが、確実に成長の足跡を残してきた。金色の輝くメダルを胸に―。その思いを抱き続け、この日を迎えた。

 PVは山形市などが主催し、出身校の山形中央高同窓会などの関係者も出席した。レース前には和太鼓演奏が会場を盛り上げ、地元有志でつくる加藤条治選手を励ます会の佐藤稔会長は「この熱気がソチに伝わり、堂々たるレースが展開されることを信じて応援する」とスタートを待った。

 加藤選手は1回目、34秒96で5位となり、メダル圏内につけた。2回目のスタート前には「条治、行け!」「頑張れ、条治」の声が飛び交った。号砲とともに低い姿勢で加速し、最後まで懸命に足を動かす加藤選手を後押ししようと、声援はさらにヒートアップ。合計タイムは1分9秒74。後続の選手のタイムにより、メダルの可能性がなくなった瞬間、会場からため息が漏れたが、競技が終了し順位が確定すると拍手が響いた。

 市川昭男山形市長は最後まで雄姿を見届け「メダルに届かず残念だが、まだまだこれからがある」と感想を述べた。

 山形中央高時代の恩師である椿央同校スケート部監督はレース全体を振り返り「1回目にいいスタートを切れなかったことがすべてだと思う」と分析し、「山形の誇りであることには変わりはない。本人は4年後、また挑む意思があると思うので、研究を重ねて頑張ってほしい」と激励した。県スケート連盟の奥山誠治会長は「必ずリベンジを果たしてくれるはず。胸を張って山形に帰ってきて」と話した。

 加藤選手の地元・同市岩波の町内会長を務める会社役員河合克行さん(65)は「ハイスピードの戦いの中、メダルには届かなかったが、よく頑張った。岩波の星だ」と拍手を送った。

現地で後押し 日本電産サンキョー

 【ソチ=報道部・木村敏郎】スピードスケート会場のアドレル・アリーナの一角には、男子500メートルの加藤条治選手(山形中央高出)が所属する日本電産サンキョーから多くの応援団が駆け付けた。

 従業員代表としてトリノ、バンクーバー両大会に続き3度目の現地応援となる井口哲さん(58)は「今回の加藤君はものすごく落ち着いていて、静かな闘志がみなぎっている」と調子の良さを見て取った。真剣に競技に取り組む姿勢で会社のシンボル的な存在になっているといい、「存分に持ち味を発揮してほしい」と期待した。同じくスタンドに陣取った同社取締役執行役員青木茂さん(62)は「これまでの悔しい思いを必ず晴らしてくれるはず」。

 加藤選手をはじめ、同種目には同社所属の3選手が出場し、長野県下諏訪町の同社講堂には約300人の従業員が集結。金・銀・銅の3種類のくす玉を用意、パブリックビューイングで大声援を送った