スピードスケート男子500メートルにかけた日本の夢ははかなく消えた。レースは2回の合計タイムで争われるのだが、1回目で日本勢は早くも窮地に追い込まれた。ヤン・スメーケンス(オランダ)が34秒59でトップに立ち、同僚のミヘル・ムルダーが0秒04差で続いた。3位に長島圭一郎(日本電産サンキョー)、4位は前回大会の覇者、牟太ボム(韓国)で、加藤条治(日本電産サンキョー)は5位だった。

「金メダル」を目指す日本にはこの順位はともかく、首位とのタイム差が重くのしかかった。長島は0秒20、加藤は0秒37の差がついた。メダル争いだけならまだしも、世界スプリント2連覇のムルダーや牟太ボムらの実力派相手に逆転で頂点に立つのは至難の業と言えた。

残念ながらこの予測は的中してしまった。2回目、加藤が34秒77と食い下がったものの、長島は思いが強すぎて力んだのか後半失速し、35秒25でこの回の16位にとどまった。最終結果は2回目も34秒67で2位とコンスタントに滑ったミヘル・ムルダーが優勝し、オランダ勢がメダルを独占した。5位の加藤は「(メダルに)届かなかった。残念でした」と振り返り、6位長島は「いつも通りとはいかない。やっぱりオリンピックなので」と小さな声で話した。

石幡忠雄監督は「メダル、それも金を狙っていたので残念だ。長島は2回目が35秒台では勝負にならなかった。加藤も1回目で目算が外れた」と悔やんだ。今村俊明コーチは「オランダ勢の爆発力がすごかった」と脱帽しつつ、「加藤も長島も低地のタイムとしては悪くない。34秒7台を2回出せばメダルに届くと思っていたが…」と2人を気遣った。

1992年アルベールビル大会で自ら女子1500メートルで3位となり、計7個のメダルラッシュの口火役となった日本選手団の橋本聖子団長は、レースを的確に分析しながら「期待が大きかっただけに残念だ。非常に厳しいレースとなった」と総括した。

上村愛子(北野建設)、葛西紀明(土屋ホーム)ら納得のいく戦いをしながらメダルにはあと一歩で手が届かない日本勢。11日はスキー女子ジャンプの高梨沙羅(クラレ)、スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(バートン)、平岡卓(フッド)の10代トリオに一層大きな期待がかかる。長島の「やっぱりオリンピックなので」の言葉は重く響くが、ぜひ若さで突破口を切り開いてもらいたいと願う。

(47NEWS 岡本彰)

☆岡本彰 共同通信の運動部で記者、デスク、部長などの立場から1972年札幌五輪以来多くの大会報道に携わった。記者としてはスキーを担当し、現在は47NEWS。