男子ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)の日本勢は7大会連続出場で41歳の葛西紀明(土屋ホーム)が101・5メートル、100メートルの合計255・2点で8位に入賞したのが最高だった。

 7度目の五輪初戦。1回目8位から逆転を狙った葛西は「2回目に良いジャンプをすれば、表彰台を狙えると思った。その分、力が入った」と悔やんだ。力みで踏み切りのタイミングが遅れた。伸びが足りず、順位を上げられなかった。

 前日の練習から徐々に内容は良くなっているという。「昨日はアプローチ(助走)での尻の位置を低くしたら、合わなかった。今日は2、3センチ高くしたら、スピードに乗れた」。助走速度の平均値はトップ10の中で、5番目。「助走で乗れているから、失敗しても8位。もっと飛べる」と前を向く。

 助走姿勢の微妙な修正をすぐにできるところが、41歳が世界で20年以上戦えている強みだ。土屋ホームの中西康隆トレーナーは「空間認知能力がずばぬけて高い」と説明する。ジャンプで言えば、頭の中で描いた助走姿勢のイメージを体でほぼ正確に表現できるという。

 東海大四高で葛西を指導した上杉尹宏さんも「ある時、体育館でバスケットボール部の優れた選手をじっと見ている。1時間ほどかな。その後、そのプレーをまねできていた」と当時を思い返す。葛西本人も「見よう見まねでまねできる」。だからこそ、スキー板やスーツなどめまぐるしく変わるルールに対応し、勝負の世界で生き抜いてきた。

 100メートル越えを2回そろえたのは、優勝したストッホと葛西だけ。「(ラージヒルなら)もう少しスピードが出て、タイミングが合う。今日の悔しさのお返しをしてやりたい」とプラス思考は健在だ。得意のラージヒルで悲願のメダルをつかみにいく。(舩本篤史)