大会第3日の9日、フィギュアスケート団体とノルディックスキー・ジャンプ男子ノーマルヒルで、日本にメダル獲得の吉報は届かなかった。10日のスピードスケート男子500メートルに長島圭一郎と加藤条治(ともに日本電産サンキョー)が登場、今大会のメダル第1号を目指す。

両エースは早くからメダル獲得宣言をしている。順位は2レースの合計タイムで争われるが、その1回目スタート抽選会で加藤は18組のイン、長島は19組のアウトを引いた。出場選手は20組40人。2回目は1回目の成績をもとにインとアウトを入れ替えてのレースとなるから、長島と加藤が最終組で金メダルを掛けて対戦という可能性もある。

冬季五輪の日本のメダル獲得の歴史といえば、計10個(金5、銀1、銅4)を記録した1998年長野大会の印象が鮮烈だろう。その足掛かりを作ったのは、スピードスケート男子500メートルの清水宏保だった。「ロケットスタート」を武器に、金メダル最有力の重圧を跳ね返して2レースとも圧勝した。日本チーム全体に力と勇気を与え、伝説のスキー・ジャンプ団体金などへとつながった。

メダルラッシュで忘れられないのが、今大会の日本選手団を率いる橋本聖子団長が現役選手時代の92年アルベールビル大会での活躍。大会第5日の2月12日、スピードスケート女子1500メートルで橋本は日本の冬季五輪女子史上初のメダル(3位)をものにした。屋外リンクで実施された最後の大会だったが、リンクコンディションが安定しない状況をも味方につけた快走だった。

これで日本チームに弾みがつき、スピード陣は男子500メートルで黒岩敏幸が銀、井上純一が銅、男子1000メートルでは宮部行範が銅と勢いに乗った。さらにフィギュアスケート女子の伊藤みどりがトリプルアクセルを跳んで銀、スキーの荻原健司らのノルディック複合団体の金、最後はスピードスケート・ショートトラック男子5000メートルリレーの銅と、メダリストが続々誕生した。計7個(金1、銀2、銅4)と冬の五輪で日本が初めて体験するメダルラッシュとなった。その栄光の流れは94年リレハンメル大会の計5個(金1、銀2、銅2)を経て、長野大会へとつながった。

日本伝統の種目、男子500メートルで前回バンクーバー大会銀の長島と銅の加藤が、長野の清水以来4大会ぶりの金に輝けるか。日本からは及川佑(大和ハウス)上條有司(日本電産サンキョー)を加えた4人が出場する。競技は日本時間午後10時から始まり、メダル確定は11日午前1時半ごろとなる。

(共同通信スポーツ企画室長 中村広志)

☆中村広志(なかむら・ひろし)1957年北九州市生まれ。共同通信でスケート、陸上、体操、五輪などを取材。冬季五輪は1992年アルベールビルから98年長野まで3大会を取材。名古屋運動部長、運動部担当部長を経て現在スポーツデータ部長兼スポーツ企画室長。