【ソチ=本社五輪取材団】第二十二回冬季五輪ソチ大会は七日夜(日本時間八日未明)、ロシア南部ソチの五輪スタジアムで開会式があり四年に一度の冬のスポーツの祭典が開幕した。 

 開会式ではロシア語の表記順に入場行進し、日本は開催国ロシアの直前、最後から二番目に登場。七度目の出場で主将を務めるスキージャンプ男子の葛西紀明(41)=土屋ホーム=や橋本聖子団長(49)らが日ロの国旗を持ち笑顔で行進した。

 ロシアのプーチン大統領が開会宣言。聖火リレーの最終走者はフィギュアスケートのイリーナ・ロドニナさんと、アイスホッケー男子のウラジスラフ・トレチャクさんの五輪金メダリスト二人が務め、スタジアム外の聖火台に点火した。

 ロシアの五輪開催は二度目で、冬季は初。ロシアでの五輪に初参加となる日本は、海外開催の冬季五輪で過去最多の二百四十八人(選手百十三人、役員百三十五人)の選手団を派遣した。

 史上最多の八十七カ国・地域、個人資格で参加するインドを合わせ、選手約二千九百人が出場。二十三日までの十七日間、過去最多の九十八種目で熱戦を繰り広げる。

◆平和の祭典重み実感

 聖火の赤みが夜の黒海に浮かびソチ五輪が開幕した。日本選手団にとっては、ロシアの地を踏む初の五輪となる。

 冷戦下、1980年のモスクワ五輪は、西側諸国の一員として不参加を決定。モスクワを目指して鍛錬を重ねた多くの選手らが「幻の五輪代表」となった。

 柔道家の河原月夫さん(64)もその1人だ。メダルの期待がかかる有力選手だったが、その後、五輪の舞台に立つことなく引退。「34年前は忸怩(じくじ)たる思いがあった。ソチを機に、五輪に参加できるという大切さをあらためて実感している」

 商業化、肥大化したと言われて久しい五輪だが、この言葉を聞くとき、「平和の祭典」としての価値はいっそう重みを増す。

 テロの不安が消えない今大会。開会式をめぐっても米国などが反同性愛問題で首脳が欠席する一方、日本や中国は出席して外交利益につなげようとする。そんな大国の思惑が絡み合う状況ではなおさらだ。

 2020年の東京五輪開催が決まってから初の五輪でもある。住民に移住を強いた開発型の会場建設、大会準備の遅れなど、さまざまな課題を抱えながらも、ソチには国内外から若者を中心に2万5000人のボランティアが集まった。彼らの多くは素直に口にする。「小さいころから、五輪に参加するのが夢だった」と。

 日本選手団が世界の強豪と熱戦を繰り広げ、たとえ敗れても前を向く姿を見せれば、日本の子どもたちの夢は果てしなく広がる。それは彼らが東京五輪を担う6年後、日本の強さ、温かさとなって世界に返っていくだろう。 (ソチ・杉藤貴浩)