【ソチ=本社五輪取材団】ロシア初めての雪と氷の祭典が七日夜(日本時間八日未明)、幕を開けた。北の大国の伝統、文化を誇示し、激動の歴史を紹介する壮大な演出。世界各国から集まった観客は、華やかな雰囲気に引き込まれ、選手たちはいよいよ迫った本番に胸を高まらせた。一方で、式の演出の一部では、五輪のマークをイメージしたオブジェが作動せず、五輪が「四輪」になってしまう珍事もあった。 

 先頭で日の丸を振りながら、日本選手団を大歓声の渦へと導いた。開会式で大役の旗手を務めたのは、カーリング女子の小笠原歩選手(北海道銀行)。「降り注ぐ歓声を受け、戻ってきたぞと感じた。今までにない感動だった」。二大会ぶり三度目の出場となった三十五歳が、母として五輪の大舞台に帰ってきた。

 二〇〇六年トリノ五輪後に第一線を退いたが、結婚、出産を経て一〇年に競技に復帰。日本選手団初の「ママさん旗手」は一歩一歩、喜びをかみしめるように行進した。

 適任だった。日本選手団の男女構成は今大会、冬季五輪で初めて女子が男子の選手数を上回った。橋本聖子団長は「女性の強さ、優しさ、明るさがチームジャパンの団結力を生み、勝利に向かうキーポイントになる」と断言する。

 迎えた開会式。小さな体にまとっていたのは、スキージャンプ男子の葛西紀明選手が主将として醸した雄々しさではない。母性がにじむ優しげな笑みに「みんなの士気を高めたい」との思いを込めていた。

 チームの和が不可欠なカーリングは、和気あいあいとした雰囲気が漂っている。小笠原選手は「競技を広めるきっかけにもしたい」と言って、旗手を引き受けた。常に目が向くのは自分ではなく、周囲だった。

 今回もチームの中軸スキップとして五輪に臨む。勝てば列島は盛り上がり、選手団も活気づく。「今後はプレーで応援してくれる皆さんに、感動を届けられれば」。チーム競技独特の一体感を、初のメダルにつなげるつもりだ。 (ソチ・小杉敏之)