ソチ五輪では、ともに浜松市東区出身の伊藤亜由子(27)=トヨタ自動車=と、清水小百合(25)=中京大職員=の両選手がスケート・ショートトラックに出場する。練習環境に恵まれているとは言えない温暖な浜松から、ハンディを乗り越えて世界の舞台に臨む。

 浜松市東区宮竹町の浜松スポーツセンターには、県内唯一の屋内スケートリンクがある。園児や小学生向けのスケートスクールが開かれており、冬季五輪の年は特に人気だという。一般開放終了後、夜は地元のクラブチーム「浜松スピードスケートクラブ」が練習を行う。両選手も小・中学生時代に参加、二歳差の二人は練習で一緒になることもあった。

 センターのスケートリンクが開いているのは十月下旬から五月上旬までで、夏場は練習ができない。両選手は実力を付けてくると、より設備の整った愛知県のリンクへ通い始めた。

 ともに週に三回、授業後に電車や車で愛知県まで通う多忙な生活だったが、学校の勉強でも、スケートで鍛えた集中力を発揮した。

 「合宿で休むことも多かったけど、友達にノートを見せてもらいながら頑張っていた」と話すのは、浜松工業高校で三年間伊藤選手の担任だった松本憲雅さん(46)。伊藤選手は「トヨタ自動車でスケートをしたい」と考え、工業高校に入学。「トヨタに推薦するにはいい成績が必要と言うと、クラスで三十番くらいだった成績が、三年生の時には一番になった」と振り返る。

 西遠女子学園中学校に通っていた清水選手は、練習の合間、近くの学習塾にも通いながら勉強した。教えていた坂本芳正さん(66)は「少ない時間を生かして集中力を発揮できる子だった」と話す。

 清水選手は先月、坂本さん宅を訪れた際にこう語った。「練習環境が十分じゃない浜松にいたからこそ、ここまで来られた。大変な思いをして愛知県まで通ったから、何があっても頑張ろうと思えた」

(長崎高大)