演技の得点や順位ではなく、羽生はその結果として日本チームに10点をもたらしたことへの満足感をあらわにした。「日本のために、と思ったときにはすごくうれしかった」

 五輪では初めての団体戦。SPで歴代世界最高点を持つ力を買われて、難しい最初の種目を任された。演技に入る前は「基本的に日本のためにという気持ちではなかった」と振り返る。まずは自分の滑りと向かい合い、自信を持つ「パリの散歩道」を演じきることに集中した。

 団体戦で役目を果たした満足感が湧き起こったのは、完璧に近い4回転ジャンプでロシアの観客を驚かせ、ミスなく演じ終えて喝采を浴びてから。「僕だけのスケートじゃない。本当にうれしかった」

 リンクサイドからは、浅田真央や町田樹ら他の日本勢が声援を送った。国別対抗戦に出たことのない羽生にとっては初めての経験。「特に(高橋)成美ちゃんの声がすごく聞こえたし、テレビの前で応援している方々の声も聞こえた気がした」。熱烈な声援に背中を押された演技でもあった。

 フリーは町田が出場を予定する。次の演技となる13日の男子SPまで1週間空き、団体は応援する側に回る。「逆に僕にとっていいオフになるかなと思う。非常にいい感じでシングルにいける」。まず五輪の氷を肌で感じ、次は休んで疲れをとる。金メダルを狙う男子シングルへ、万全の態勢を整える団体SPとなった。 (海老名徳馬)