京の銘菓がソチ冬季五輪選手をサポート。スピードスケート女子3000メートルと5000メートルに出場する藤村祥子選手(26)=宝来中央歯科=の競技ウエアには、「おたべ」の文字がプリントされている。北海道出身で東京の大学に進んだ藤村選手に、京都との直接の関わりはない。不思議な縁は、小豆が結んだ。

 生八ッ橋で知られる「おたべ」(京都市南区)は、原材料の小豆を北海道・十勝地方から仕入れており、役員が取引で現地を訪れることも多い。親交の深い地元農家の一人、小竹直喜氏(43)=音更(おとふけ)町=は世界選手権5度出場のスピードスケートの名選手。藤村選手は日体大卒業後、高校時代のコーチだった小竹氏に師事、ソチに向け練習を始めた。

 冬季競技を取り巻く環境は厳しい。支援企業は限られ、恩恵を受けられる選手は少ない。「4年前は国内で15~20番くらい」(小竹氏)だった藤村選手は地元の歯科医院の所属選手として、仕事をしながら練習している。遠征費もかさむため、小竹氏が「おたべ」の役員に相談し、3年前から支援が始まった。ウエアに社名を表示し、遠征費などの一部をサポートしている。

 同社がスポーツ選手を支援するのは初めて。いきなり五輪の大舞台が訪れ、酒井宏彰社長(47)は「不思議な感覚」と話す。これまでも大会での応援を重ね、ソチでは会場でレースを見守る予定だ。「競技を見ると面白く、身近な選手が五輪に出るのはうれしい。地元にも喜んでもらえた。本番では自分の滑りをしてくれれば」と心待ちにする。

 五輪では日本選手団のウエアを着用するが、小豆が紡いだ縁と努力で夢をつかんだ藤村選手は154センチの小柄な体で初舞台に挑む。小竹氏は「『おたべ』の支援がないと、出場はかなわなかった。本人も感謝している。頑張る選手を応援する企業が増えてくれたら」と話している。