「目標」だった五輪メダリストの仲間入りを果たした競泳女子200メートルバタフライの星奈津美選手(21)=越谷市出身。銅メダル獲得の快挙にスイミングスクールの後輩たちは「大舞台でのメダルはすごい」と先輩をたたえる。星選手の母親は表彰台に立ったまな娘について「一番いい笑顔だった」と話した。  星選手がトレーニングを重ねる蓮田市黒浜の大教スイミングスクールでは、2日未明からスクールに通う子どもや保護者ら約130人が集まり、決勝レースに挑む星選手に熱いエールを送った。  午前4時すぎ、プールサイドに設置された大型テレビの画面に星選手が登場。子どもたちは絆の文字が刻まれたタオルを掲げて「奈っちゃん、ガンバレ」と声援を送った。東北の被災地の子どもたちに元気を送りたいという星選手の願いがこもったタオルだ。  スタートのブザーとともに水面に飛び込む星選手。序盤は抑え気味の展開だったが、150メートルすぎから持ち前のスタミナを生かして順位を上げていく。会場のボルテージも最高潮に。「もう一息、最後まで頑張れー」。会場の声援に押されるように、星選手は終盤追い込み3位でゴール。銅メダル獲得に会場は歓喜の渦に包まれた。  星選手は、スクールでは憧れの的。面倒見もよく、子どもたちにも気さくに声を掛ける優しいお姉さん的存在だ。  上尾瓦葺中3年の石森瑞奈さん(15)は「後半が強い奈津美さんらしい泳ぎだった。大舞台でメダルを取れるのはほんとにすごい。プレッシャーに負けない強い気持ちがあるから」と先輩の活躍を誇らしげに語った。  白岡西小5年の永島直樹君(10)は「やっぱりすごい。次のオリンピックは金メダルを取ってほしい」と目を輝かせた。  表彰式が終わると、別室で観戦していた母親の真奈美(49)さんが取材に応じた。「とにかくホッとしている。悔いのないレースをしてほしかった。本人の希望がかなったことが何よりうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。  予選が始まってからの2日間、真奈美さんは食事が喉を通らないほど不安だったと心境を明かした。表彰台に立った星選手について、真奈美さんは「メダルを取ることができてよかった。一番いい笑顔だった」と振り返った。 ■恩師「努力の子」  「星らしいな。やったな」。春日部共栄高水泳部の戸川晴夫監督(50)は教え子の快挙を喜んだ。競泳女子200メートルバタフライで銅メダルを獲得した星奈津美選手(21)は同校OB。ライバルを猛然と追い詰めるラストスパートは高校時代と変わらない。むしろ、力強さを増した粘りに「いい泳ぎでした」と目を細めた。  星選手が高校3年時に初出場した北京五輪は10位に終わった。当時は国際大会や遠征など、世界と戦うことが少なかった。戸川監督は「北京五輪では戸惑いもあったと思う」と振り返る。だが、今大会までに場数を踏み、「高地トレーニングなど十分な準備をしていた。北京の経験があったから、今回の銅メダルにつながった」とねぎらった。  「努力という言葉がぴったりな子。苦しい時期も黙々と練習していた」と思い返し、「いろいろな方にサポートしていただき、感謝の気持ちが形になったのでしょう」と褒めたたえた。 ■地元越谷も大興奮  「奈っちゃんおめでとう!」。日本時間2日午前4時すぎに行われたロンドン五輪競泳女子200メートルバタフライの決勝。越谷市出身の星奈津美選手(21)が2度目の五輪で銅メダルを獲得した。越谷市で初となる五輪メダリストの誕生に、地元はお祝いムードに包まれた。  越谷市の自宅でテレビ観戦した祖父の折原明さん(71)は「本人は狙っていた金を取れなかった悔しさがあると思うが、よく頑張った。帰国したら『お疲れさま、ありがとう』と声を掛けたい」と喜びをかみしめる。自慢の孫は「思いやりがあって優しくて、ものすごく頑張り屋さん」。兄の幸輔さん(23)の影響で1歳半からスイミング教室に通い始めた星選手。教室を休むのを嫌がるため、小学生の頃から家族旅行は日帰りのみ。折原さんは「元日を除く1年364日泳いでいる。人魚のように水から離れるのを嫌がる。奈っちゃんは本当に水泳を愛している」と話す。  星選手のパワーの源は牛タンとうなぎ。特にうなぎにおろしたトロロを掛けるスペシャル丼が大好物で、ロンドンに出発する前日も店屋もの のうなぎを食べたという。折原さんは「仙台から牛タンを取り寄せて食べさせたい」と一刻も早く孫に会いたい様子。  星選手の地元、新方地区自治会連合会の高橋剛三会長(68)は、白熱したレース展開に興奮し、その後、一睡もできなかった。「まるで自分の孫がメダルを獲得したような気持ち。地区のみんなが喜んでいる」とにっこり。星選手は越谷市立鷺後小、栄進中を卒業。市主催の激励会で寄せ書きの色紙を星選手に渡した同中3年の生徒会長田村栄祐君(15)は「感動しました。栄進中の誇りの先輩です」と話す。  朗報を受け、越谷市役所では2日午前、市内14カ所に設置した出場を祝う懸垂幕、横断幕に「祝銅メダル」と張り付ける作業に大忙し。高橋努市長は「見事な泳ぎに感動した。星さんの活躍は越谷市民だけでなく日本人の誇り」とコメント。横断幕の取り付け作業をしていた植田春夫市スポーツ振興課長(54)は「4年後はさらにいい色を狙ってほしい」と期待を込めた。 ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)