この二人の泥くささが好きでたまらない。松田丈志選手(28)と久世由美子コーチ(65)の師弟コンビのことだ。きのう未明のロンドン五輪、競泳男子200メートルバタフライ決勝。最後の20メートルの激闘に、息を止めて見入った。松田選手のわずか先を行くのは、マイケル・フェルプス選手(米国)。アテネ、北京の両五輪で金メダル計14個。その「怪物」を追い詰める松田選手は、故郷の宮崎・延岡にあるビニールハウスプールが練習拠点。まさに「世界のスーパースター」と「田舎のヒーロー」のぶつかり合いだった。松田選手が前回の北京大会で初めてつかんだメダルが銅。その時「自分色のメダル」と言って素直に喜び、久世コーチと誓い合ったのが「フェルプス選手に勝ってロンドンで金」。それからの4年間の闘いの日々を二人は共著「自分超え」(新潮社)でこうつづっている。久世コーチは4歳の松田少年と出会って20年、継続してきたマンツーマンの指導内容を「コロッと変えた」。1年をスポンサーなしで過ごす苦難もあった。「恵まれてないからできること」と、あえてビニールハウスの練習拠点も変えなかった。育ててくれた故郷にこだわり続けた。レースはゴール直前、20歳の新鋭が二人の競り合いに割って入り、タッチの差で松田選手は3位。それでも「会心のレース。多くの人に支えられた銅メダル」と、田舎のヒーローは笑った。泥くさく、すがすがしいその「敗北」に心から拍手を送りたい。(B) ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)