■サポーター 若きサムライに感嘆 歓喜の声がスタンドを、列島を、揺らした。ロンドン五輪のサッカー男子1次リーグで26日、日本代表が強豪スペインを破る「大金星」を挙げた。先発出場した大津祐樹選手(22)=水戸市出身=は決勝点となる先制ゴールをたたき出した。なでしこに続いて初戦を飾り、雄たけびを上げる若きサムライに「強い」と感嘆するサポーター。44年ぶりのメダル獲得という目標へ大きな一歩を踏み出した大津選手の活躍を、家族や地元ファンらも見守った。 サッカー男子のスペイン戦で日本代表を歴史的勝利に導くゴールを決めた大津選手は、茶髪やアイドルのような顔立ちから“チャラ男”の愛称で親しまれている。「ちゃらちゃらしている」との意味だが、実はいったんサッカーのエリートコースから外れた経験があり、「雑草魂」を持つ苦労人だ。 水戸市出身で中学時代は鹿島アントラーズのジュニアユースに所属。高校でユースに進み、英才教育を受けてプロへの階段を上るはずだった。しかし望みはかなわず、ユースに入れなかった。 大津選手は心機一転、東京の成立学園高に入学。同校サッカー部総監督の宮内聡さん(52)は「大津の学年は背が低かったり、精神力が弱かったりでユースから漏れた選手が多く集まる“雑草軍団”だった」と振り返る。 挫折感を抱く選手たちは打倒ユースに燃えた。体の線が細かった大津選手も毎日、居残り練習で体を鍛える。高校3年の時には強豪チームに成長し、アントラーズのユースも破った。同級生の常盤祐介さん(23)は「このとき大津は『絶対負けられない』とすごい気合だった」と話す。 周囲が今も覚えている場面がある。ある試合で、大津選手が足を交差させて蹴るトリックプレー「ラボーナ」でセンタリングをした。ふざけていると非難されかねないところだが、あまりに正確なキックにコーチ陣も思わず見とれた。 「観客がわくわくするようなサッカーをしたい」と後に語るようになる大津選手。その原点といえるプレーだった。 翌日、サッカー部員約100人がラボーナの練習を始め、宮内さんが慌てて「おまえらは駄目だ」と怒ったという。 悔しさをばねに努力を重ね、強い精神力とスター性を身に付けた大津選手は、その後Jリーグ柏レイソルの目にとまり、晴れてプロに。昨年からはドイツに移籍して、たくましさも増した。 26日の初戦。「無敵艦隊」スペインの選手を押しのけるようにゴール前に飛び込み、決勝弾を思い切り蹴りこんだ。地鳴りのような歓声。両手の親指で何度も自分を示し、スタンドに、世界に、自分の存在をアピールしてみせた。 「メダルまで行きたい」。スペイン戦の後には頼もしい言葉を口にした。華麗なプレーに再び魅了される瞬間を、日本のファンが心待ちにしている。 ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)