すっかり準備が整い、後は本番を待つだけだろう。といってもロンドン五輪ではなく、28日から3日間にわたって福島県南相馬市を中心に繰り広げられる伝統行事の「相馬野馬追(のまおい)」だ。先祖伝来の甲冑(かっちゅう)に身を固めた騎馬武者の行列や勇壮な甲冑競馬、神旗争奪戦…。旧相馬藩主の相馬氏の祖ともいわれる平将門に起源を持つとされる祭りは、平安中期から千年以上の歴史がある。飢饉(ききん)や戦争など困難な時代にも途切れることなく続いてきたという。昨年は大震災と原発事故が立ちはだかった。多くの参加者や馬が被災し、会場となる神社の一つは福島第1原発から20㌔圏内に位置する。「こんな時に…」「こういう時だからこそ」と賛否両論が出たのは当然だろう。規模を大幅に縮小して実施に踏み切った。それから1年。武者を束ねる三社・五郷騎馬会長の本田信夫さんによると、例年の8割ほどの約400頭が参加するという。原発が立地する大熊町などから全国各地に避難している武者たちも帰ってくる。「心意気に涙の出る思いだ」。武者といっても、普段は農業などに従事している「おとっさん」たちが中心。祭りが近づくと、ひげを伸ばし、しゃべり方も武士のようになってくるという。そんなつわものたちが躍動する競馬会場などの除染も終わったようだ。長い伝統に「鎮魂」という要素も加わった。ひづめの響きが復興に向けたのろしとなれば。 ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)