揺らめく送り火が季節の変わり目を告げている。終戦の日とお盆とともに、追悼と追憶の夏が行く。毎年、8月前半は第2次大戦の犠牲者を悼み、戦争と平和に思いを寄せる季節である。ロンドン五輪の期間と重なった今年は戦争関連の報道が例年に比べ小さくなりがちだった。五輪ではサッカー女子の米国戦、バレーボール女子の中国戦などの息詰まる攻防が日本中を熱狂の渦に包んだ。スポーツで競い合える世界はいかに素晴らしいか。そのことをあらためてかみしめた祭典でもあった。しかし、足元に目を移せば、日本近海が波立っている。韓国の李明博大統領による島根県・竹島訪問に続き、15日には香港の活動家らが沖縄県・尖閣諸島に上陸し、14人が逮捕された。韓国、中国にロシアも加え、近隣諸国との関係は急速に冷え込んでいる。竹島や尖閣諸島などをめぐる問題がそろって緊迫化しているのは偶然とは言えまい。民主党政権の外交姿勢や安全保障政策が付け込まれる隙を与えているとして、野党などは批判を強めている。尖閣に上陸した香港の活動家らについて、政府は17日、全員を強制送還した。日中関係を悪化させないよう早期の幕引きを図った格好だが、このままでは不法入国は何度でも繰り返されるとの指摘もある。竹島の問題では国際司法裁判所に共同提訴することを韓国に提案した。韓国側は拒否する姿勢を示しているが、政府には国際社会で日本の主張をはっきりと伝えてもらいたい。(E)