福島に新しい屋内プールを-。ロンドン五輪の競泳女子200メートル個人メドレーに出場する福島市出身の加藤和(いずみ)選手(22)が呼び掛けている。東京電力福島第1原発事故の影響で福島県では昨年、屋外プールでの授業を見送った学校が多かった。古里への感謝の気持ちを込め「子どもたちが思い切り泳げる場を」と訴える。 原発に近い同県大熊町に住んでいた祖母鈴木豊子さん(86)は福島市内に避難している。津波で家を流された知人もいる。古里の状況に激しく落ち込み、震災後の昨年5月に帰省した際は10日間泳げなかった。 かつて試合をしていた屋外プールが一時使えなくなったのもショックだった。「悲しいというか、切ない」と嘆いた。 一方で、家族や地元のコーチらと話すうちに「一番つらいはずの人たちが一番応援してくれる」と感じた。 2006年に国際大会に初出場し、北京五輪への期待がかかったが、派遣の基準タイムにわずかに及ばず代表から漏れた。父善和さん(56)と母かの子さん(56)は「ロンドンには絶対に行くという気持ちがあった」と話す。 「夢、目標は努力すれば必ずかなう」と小学校の卒業文集に書いていた。五輪に出るために福島市内の短大を卒業後、強豪の山梨学院大に編入し厳しい練習に耐えた。 ロンドン五輪出場を決めた後の今年5月、屋内プール建設の実現に向け、競泳日本代表のサインを連ねたTシャツを県水泳連盟に託した。 もう一つの目標は五輪で日本新を出し決勝に残ること。それも福島への恩返しだと考えている。