島根、鳥取両県にまたがる中海。米子市の市街地に入り込むように広がる米子湾の護岸は整備されれ、散歩やジョギングなど市民の憩いの場だ。梅雨の蒸し暑さにぐったりするが、米子湾の岸辺に立つと、さわやかな風が吹き抜け心地よい▼先週、米子湾を舞台に3キロを泳ぐオープンウオータースイミング大会があった。聞き慣れない大会名だが、海や湖などプールとは違う自然の中を泳ぐ競技。オリンピック種目に採用され、ロンドン五輪には日本選手が出場する▼中海での大会は昨年に続き2回目。2002年に「10年で泳げる中海を取り戻そう」と発足したNPO法人「中海再生プロジェクト」が、水質改善に取り組んだ10年の活動の集大成に昨年、初めて開催。今年は昨年より40人多い110人が全国から参加した▼中海は農地造成を目的とした干拓、淡水化事業で水質が悪化するなど時代の波に翻弄(ほんろう)されてきた。米子湾は最も水質が悪化。それでも下水道整備や市民の取り組みもあり、中海再生プロジェクトの内藤武夫理事長は「活動を始めたころに比べれば水質は見違えるほど良くなった」と話す▼大会は水質浄化を願う多くの住民団体が協力し、ボランティアで運営。選手の評判も良く、和やかな交流の場になっていた▼今年から同じ中海再生に取り組む、松江市のNPO法人自然再生センターも主催者に加わり、両県が広域連携の共同事業として支援した。両県と民間の力を結集し、美しい中海を取り戻す活動の輪をさらに広げてほしい。(土)