五輪公園の入り口のひとつ、ストラトフォード・インターナショナル駅前で不思議な光景を目にしました。大勢の人でごった返す中、地面に敷いたシートの上でうつぶせになり、マッサージを受けている女性がいます。しかも、よく見ると「CHINA」の文字が入ったジャージーを着ています。  尋ねてみると、陸上女子3千メートル障害に出場する中国の尹安娜選手(20)でした。専属トレーナーが選手村や競技会場に入れる許可証を持っていないため、選手村を出てすぐのこの場所で毎日「青空マッサージ」を受け、痛めた腰の回復に努めているそうです。  選手総数に応じて各国・地域に割り振られる許可証は数に限りがあり、普段選手を支えているスタッフ全員には行き渡りません。日本は選手村の外にマルチサポートハウスを設置したり、競技団体が独自にアパートを借りるなどして許可証のないスタッフの居場所を設けたりと、選手がベストコンディションを保つための「村外拠点」を充実させる動きが目立ちます。  国を挙げて金メダルをかき集める中国のことだから、さぞかし手厚い支援態勢が整っているのだろうと思っていたのですが、意外と泥くさく、文字通り地面をはいつくばって決戦に備える様子には驚かされました。  尹安娜選手は「しょうがないことなので、受け入れるしかありません。とにかくベストを尽くします」と腰をさすりながら笑顔で語ってくれました。日本もまねをしろというつもりは毛頭ありませんが、どんな境遇でも黙々と取り組む姿勢は純粋に応援したい気持ちにさせられました。(ロンドン共同=菊浦佑介)