交通渋滞や警備体制の混乱が懸念され、空港の入国審査官やバス運転手は賃上げなどを要求し、ストまで警告していたはずなのに…。英国では悲観的な事前の報道が目立ったロンドン五輪。しかし、いざ始まってみれば、意外とスムーズに進行し、「前評判と違うじゃないか」というのが第一印象。「これが英国流なのか」と妙に納得もしています。  27日の開会式。趣向を凝らしたエンターテインメントを隣席で見ていた英紙タイムズの記者はすっかり盛り上がり、同僚と何度も記念撮影を繰り返した末、「どう思う?」と興奮気味に問い掛けてきました。私が「歴史や文化など英国のさまざまな面を伝えていてすばらしい」とほめると、得意満面。英国のジャーナリストは「批判精神にあふれた皮肉屋」が多いと思っていましたが、賛美するばかり。英国人に対するイメージが大きく変わった瞬間でした。巨費を使うことへの批判はしなくていいのか、と心配になるほどです。もちろん、本当に見事なショーでしたが。  競技が始まって数日たちましたが、交通渋滞も通信障害も深刻な問題にはなっていません。心配されたテロも起きていません。「始まる前にはあれこれ言うけど、やるときはやる。そういう意味では、安心できる国だ」。英国に長く住む日本人の五輪通訳ボランティアが解説してくれました。  「英国人は五輪にあまり関心がない」とも言われていましたが、会場に行けば、ユニオンジャックを掲げた親子が歓声を上げて楽しんでいます。「何だ、やっぱり」という感じです。  開会式で特に感心したことがあります。各国代表の入場行進では、選手が記念撮影などをして時間が遅れがちになる問題を避けるため、“秘策”が用意されているとの情報が流れていました。  そこに登場したのが太鼓隊。選手団の後に横一列に並び、後ろから大音響で迫ってくれば、前に進まざるを得ません。しかもこの太鼓隊は、国民性が比較的おおらかと思われる国の後に配置されているようにも感じました。こうした用意周到なところも、英国人ならではと言えるのでしょうか。(ロンドン共同=佐々木健)