ロンドン五輪の開会式は英国流の荘厳さとユーモアにあふれ、一夜限りの舞台劇やコンサートを楽しんだ気分になりました。4年前の北京五輪は巨費を投じた壮大な歴史スペクタクルに驚嘆しましたが、緊縮財政下で「倹約五輪」といわれながら、英国を代表する映画監督ダニー・ボイル氏が手掛けたショーは華やかさも十分ありました。  最も会場を沸かせたのは英国の人気コメディー「ミスター・ビーン」で知られる俳優ローワン・アトキンソン氏の登場。厳戒の警備態勢下、各国首脳も集まる開会式で映画「炎のランナー」のテーマ曲を演奏する交響楽団の一員に扮してコミカルな動きで笑いを誘いました。新時代の五輪を象徴するシーンだったかもしれません。  スパイ映画「007」で主人公ジェームズ・ボンドを演じる俳優ダニエル・クレイグ氏がエリザベス女王をエスコートするサプライズ演出もあったほか、ポール・マッカートニー氏がビートルズ時代の名曲「ヘイ・ジュード」を歌い上げるフィナーレなど英国らしさ満載でした。  欧州債務危機は英国経済も圧迫しています。「英国らしい倹約」(?)と思ったのは、五輪会場間をつなぐシャトルバスが今大会はないことや、大会前や開会式で報道陣に配られる取材用の資料などに、定番の抱えきれないほどのお土産が付いていない点です。北京五輪と比べて4分の1ともいわれる大会経費で、どんな五輪が開けるのか。一つの試金石になるかもしれません。(ロンドン共同=田村崇仁)