ロンドン五輪が27日(日本時間28日)に開幕。世界で戦火が絶えず、開催地もテロを警戒して厳戒態勢が敷かれる中で迎えた「平和の祭典」だ。県内で1998年の長野冬季五輪に関わった人や英国との交流に携わってきた人たちは、五輪を機に国際理解や平和を考える意味をあらためてかみしめている。 「五輪で、平和を願う機会になればいい」。下伊那郡天龍村の役場職員、上野秀(しげる)さん(23)=同村=は今、そんな思いで五輪を見つめている。 同村は、第2次世界大戦中に捕虜として平岡ダム建設の強制労働に従事した英国人で2010年12月に97歳で死去したウィリアム・ローズさんとの交流が縁で03年度から5年間、中学生を英国南東部のブリッジ村に派遣。上野さんも中学2年生当時、現地を訪れた。 ローズさんと交流し、「地域の負の歴史を実感した」という上野さん。「五輪は各国間のメダル争いばかりが注目されているが、参加国同士の交流も大切だ」と強調する。 「長野五輪は戦争や貧困などの問題を知るきっかけになった。『平和の祭典』だからこそ考えなくてはならない課題がある」。長野五輪の開会式に「雪ん子」役で出演した市野紗登美(さとみ)さん(27)=長野市=はそう話す。 長野五輪で、地雷撤去作業中に手足を失った英国人のクリス・ムーンさんと一緒に聖火リレーを走った経験をきっかけに、国際問題に目を向けた。青年海外協力隊員や国連ボランティアとして海外で保健衛生活動などに従事し、8月からは都内で国際協力の仕事に就く。「五輪は、普段は注目されない国や地域を意識する機会にもなる」 昨年7月、松本市で開かれた国連軍縮会議に合わせ、行進して平和を訴えた市民団体「平和を考える市民の広場」代表で美容師の望月みつよさん(64)=塩尻市=は、日本選手団に、競技成績と同時に別の期待も抱く。「平和を伝える使節団としても活躍してほしい。政治家や官僚よりも平和外交ができる」 「ワン・スクール、ワン・カントリー(1校1国)」。ことし3月、こんな英文が入った横断幕を、長野市立長野高校の生徒5人が、交流のある英国中部・ノッティンガム市の公立学校に届けた。託したのは長野国際親善クラブの小出博治会長(84)=長野市。長野五輪で始まった「一校一国交流活動」を、同高校に託してロンドン五輪にもつなげる願いを込めた。 横断幕を届けた3年の染野愛実(あいみ)さん(17)=同市=は、同五輪での各国選手団の活躍を期待。「五輪を見た子どもたちが、希望を持てる機会になってほしい」と願った。(長野県、信濃毎日新聞社)