大分政経懇話会7月例会は10日に大分市のトキハ会館、11日に臼杵市の臼杵喜楽庵であり、朝鮮半島専門誌「コリア・レポート」編集長の辺真一(ピョンジンイル)氏が「どうなる金正恩 どうなる日朝関係」と題して講演した。要旨は次の通り。カリスマ性に乏しく 昨年12月に金正日総書記が死去した際、小泉純一郎元首相は訃報に接して「残念だ」とつぶやいたという。「北朝鮮に政治決断ができる人間がいなくなり、拉致・核問題の解決が遠のいた」との意味だろう。 最高指導者の地位を継いだ金正恩氏は祖父の金日成氏、父親の正日氏と比べて年齢も若く、当然ながら実績も経験もない。カリスマ性にも乏しい。重く厳しい政治決断をわずか29歳の正恩氏が下せるかどうか疑問だ。 支配体制が変わり、拉致・核問題を含めて事態の打開を期待するのは当然だ。3代世襲は許せない権力移譲だが、中東で起きた「ジャスミン革命」のような民主化運動が北朝鮮で起こるのは難しいだろう。 そもそも北朝鮮には民族、宗教といった対立要因がない上、反体制派の野党勢力も存在しない。治安機関の統制も厳しく、住民の相互監視制度も確立している。完璧に近い恐怖政治が敷かれ、大規模デモはほぼ不可能だ。だから住民は決起できず、脱北の道を選ぶ。 革命が起きた国を見ると、リビアのカダフィ大佐もエジプトのムバラク前大統領も軍に裏切られ、体制が崩壊した。正恩氏もこれらを反面教師として学び、軍優先の「先軍政治」を貫いている。これは正日氏の遺訓であり、正恩氏を支えているのはほかならぬ軍だ。「信用できない」発言 だが北朝鮮は今、中国に取り込まれつつある。総貿易額約63億ドルのうち中国との取引が約56億ドルを占める。さらに中国は北朝鮮国内の3港を、軍事利用を視野に開放するよう要求している。正日氏はかつて「中国は信用できない国だ」と発言した。それほど北朝鮮には中国による従属・隷属化への警戒感がある。 北朝鮮にとって領土・資源問題も存在せず安心・安全に付き合える国は、中国でも韓国でもなく日本だ。だからこそ日本政府は正日氏死去を機に、外交交渉をあらためて考えるべきだ。毅然(きぜん)とした外交も結構だが、それは硬直した外交とイコールではない。拉致問題を早期解決するためには大胆で懐の深い、そしてしたたかな外交が必要だ。7月例会のお知らせ▼別府会場 24日(火)正午 ホテル白菊▼中津会場 25日(水)正午 グランプラザ中津ホテル スポーツジャーナリスト 島村俊治氏   「ロンドン五輪の楽しみ方と五輪の未来に向けて」 大分政経懇話会のご加入についてのお問い合わせは大分市府内町3の9の15、大分政経懇話会事務局(TEL097−538−9646)へ。