3日行われるロンドン五輪女子柔道78キロ超級に伊丹市出身の杉本美香選手(27)=コマツ=が登場する。度重なる大けがを克服し、悲願の五輪切符を手にした杉本選手の心の支えになったのは、所属するコマツの松岡義之監督(53)=兵庫県福崎町出身=の存在だ。1984年のロサンゼルス五輪を制した師の教えを胸に、2010年世界選手権に続く、頂点を狙う。 松岡監督が五輪に出場したのも、杉本選手と同じ27歳だった。兵庫県立福崎高や京都産業大時代は全国での主立った実績はなかったが、兵庫県警に入り頭角を現した遅咲きの金メダリストだ。 日本の“お家芸”柔道代表の重圧は、身にしみて知っている。自身は試合の1カ月前から眠れなかったという。杉本選手は自他共に認める「緊張しい」。松岡監督は自身の経験も踏まえ、「絶対に重圧はゼロにはできないが、いろんな人に支えてもらった感謝を力にして、スイッチが入るかどうか」と助言を送る。 杉本選手は実業団に入ってしばらく結果が出ない時期が続いた。焦るあまり、体を壊すほど稽古をしてしまうこともあり、松岡監督は「技の切れは重量級で1番。精神的に繊細すぎるだけ」と精神面強化にも努めてきた。杉本選手も「監督は自分でも気付かないような細かい癖や変化にも気付いてくれる」と全幅の信頼を寄せる。 弱点を徐々に克服し、09年の全日本選抜体重別選手権でアテネ五輪覇者の塚田真希選手を破って頂点に。翌年の世界選手権では同級と無差別級の2冠を制し、才能を開花させた。「前に出ながら技を出すのが杉本のリズム。自分を信じ、自分の良さを生かすことが大事」(松岡監督)。杉本選手も「監督を信じてここまでやってこられたから、最後まで信じてやっていく」と、恩返しの「金」に執念を燃やす。(永見将人)