1932年の米ロサンゼルス五輪の馬術障害飛越競技で金メダルを獲得した西竹一(たけいち)大佐(1902〜45年、バロン西)の親類の高柳保子さん(75)=札幌市白石区在住=は、ロンドン五輪に出場している日本選手の応援に力が入っている。西大佐は、米国など五輪で得た友人の国とも戦わなければならなかっただけに、終戦の日を前に「国を超えてスポーツで交流できるのも平和のおかげ」と実感している。 西大佐は1939〜40年、十勝管内本別町にあった陸軍軍馬補充部に勤務するなど、北海道との縁が深い。高柳さんの父である開業医の故西二三(ふたみ)さん(1877〜1962年)は、西大佐のいとこに当たる。 西大佐は、高柳さんが小学校の低学年のころ、旧豊平町(現札幌市南区簾舞)の自宅をしばしば訪れた。「制帽に騎兵科を示す赤い線が入っていて、とてもりりしかった」(高柳さん)。優しい人柄で、高柳さんの頭をなでて「大きくなったね」と笑顔で語りかけてくれたのが印象に残っている。 二三さんとは、心の許せる間柄でよく話し込んでいた。二三さんが「心に深い情愛とさみしさを秘めた男だった」と話したのを覚えている。 最後に自宅を訪れた際、赴任先について何も言わず、ロス五輪で共に金を取った愛馬ウラヌスに騎乗する自らの写真を置いて帰っていった。後に硫黄島で戦死したことを知った二三さんは、とても悲しんだという。 それから67年が過ぎた。高柳さんは「ロンドンで各国の選手がスポーツマンシップに基づいて競技する姿をテレビで見て、つくづく平和は尊いと思います」と話す。(高橋力)