8月5日無機質なポストモダン建築に土俗的な妖怪のイラスト。ミスマッチを心配したが、杞憂(きゆう)だった。除幕式で平井伸治知事は「妖怪のオリンピックが始まるよう」と、開催中のロンドン五輪にひっかけて、その楽しさを表現してみせた◆境港市の「みなとさかい交流館」の正面外壁にお目見えした縦7・5メートル、横20・25メートルのイラストボード。「まんが王国とっとり」をアピールしようと、鳥取県が水木しげるさんに原画を依頼して設置した◆15年前に交流館ができた当初、その斬新なデザインが水木ロードの妖怪の雰囲気とそぐわないのではないかと景観論争があった。月日がたち、今こうして対極的な両者が調和している様を見るのは感慨深い◆描かれているのは26体の妖怪。鬼太郎ファミリーが山陰の妖怪たちと境港で仲良く過ごしている様子がユーモラスに表現されている。山陰の妖怪として「狐(きつね)の嫁入り」が描かれているが、境港には、島根半島からやってきた「於種(おたね)さん」と呼ばれた気立てのいい女狐の物語が残る◆ほかにも「伯耆大山の烏天狗(からすてんぐ)」「河童(かっぱ)」「傘化け」などのご当地妖怪が描かれているが、これを機にそれぞれの物語にも光が当てられたらと思う。怪しく照らされた夜のイラストボードも見てみたい。