「飛ぶ砲丸」と世界のトップアスリートから支持され、アトランタ五輪(1996年)からアテネ五輪(2004年)までの3大会連続で男子砲丸投げの金・銀・銅メダリスト全員の砲丸を製作した旋盤工辻谷政久さん(富士見市)の企画展「世界一の砲丸職人」が、同市立難波田城資料館で開かれている。  辻谷さんは1933(昭和8)年の東京・浅草生まれ。家は町工場を営んでいた。家の工場で機械の操作を覚え、16歳で定時制の工業高校に入学。26歳で独立した。富士見市に来たのは1974(昭和49)年。土地が安かったこと、近くまでトラックが入れること、東武東上線志木駅からバスがあることが理由だったという。  砲丸作りは1968(昭和43)年ごろから。大手が参入する前にテニスラケットやゴルフのアイアンなどを手掛けたことで、「器用だから何でも作れる」と業界で評判になり依頼されたのがきっかけだった。  同展では、飛ぶ理由の「重心が真ん中」の砲丸を完成させるまでの苦労や工場の様子を約50点の資料とインタビュー映像で紹介。貴重な辻谷さんの製作工程を説明するための砲丸11点や、アトランタ五輪とアテネ五輪モデルの砲丸(約7.2キロ)を実際に持つことができる。  今回のロンドン五輪には79歳と高齢なこともあって砲丸を製作していない。それでも、展示の中には「特許は好きではありません。自分よりすごいものを作る人がいたら、さらに良いものを作る自信があります」(抜粋)などの辻谷さんの言葉を紹介するコーナーがある。見終えたあとの来館者アンケートには「また頑張る気持ちが出た」とあり、職人の心意気から活力をもらえる企画展になっている。  8月19日まで。入館無料。午前9時から午後5時。月曜休館。  問い合わせは、同館(049・253・4664)へ。