ロンドン五輪が27日(日本時間28日)に開幕する。1896年の第1回アテネ五輪から30回目の節目だ。世界中のアスリートの最高のパフォーマンスを期待したい。同時にスポーツの素晴らしさ、社会的意義を再確認する大会になることを願ってやまない。 五輪は各国のメダル獲得数に関心が向き、国威発揚の手段として政治に利用されがちだ。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)が定める五輪憲章は、オリンピズム(五輪のあるべき姿)の目標を「スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てること」とし、目的を「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある」とうたっている。 五輪が「平和の祭典」と言われるゆえんだ。しかし、ロンドンの会場周辺にはミサイルや軍艦が配備され、テロを警戒している。残念ながら、これが現実である。 2001年の9・11米中枢同時テロ以来、世界は無差別テロとの闘いを余儀なくされている。シリアでは軍による民間人虐殺が後を絶たない。五輪を暴力の愚かさを再認識し、平和実現への決意を固める契機にしなければならない。 日本選手団は293選手が出場し、金メダル15個以上を目標に掲げている。水泳で3連覇を狙う北島康介選手をはじめ、体操の内村航平、レスリングの吉田沙保里、陸上男子ハンマー投げの室伏広治らの各選手、サッカー女子のなでしこジャパン、お家芸の柔道などで活躍が期待される。 自転車男子ロードレースには、県出身の新城幸也選手(27)=ヨーロッパカー所属、石垣市出身=が世界最高峰のツール・ド・フランスの完走実績を引っ下げて出場する。新城選手にはほかの日本代表ともども最善を尽くし持てる力を余すことなく出し切ってほしい。結果はおのずと付いてくる。沖縄から最大限のエールを送りたい。 五輪憲章はスポーツ活動を人権の一つととらえ、こうも記す。 「すべての個人はいかなる種類の差別もなく、オリピック精神によりスポーツを行う機会を与えられなければならず、それには友情、連帯そしてフェアプレーの精神に基づく相互理解が求められる」 世界の若者が互いの尊厳を認め正々堂々戦ってもらいたい。疑心暗鬼がはびこる世界に、感動とフェアプレーの精神を示してほしい。