サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の活躍に期待が寄せられているロンドン五輪はもうすぐ。代表選手たちの主戦場である国内トップリーグをピッチの真ん中で支えてきた女性がいる。十和田市三本木小の教諭・漆畑成子さん(42)は、昨季まで日本サッカー協会の「女子1級審判員」として、なでしこリーグなど全国各地で主審を務めてきた。大舞台に挑む選手たちに「金メダルを取り、子どもたちに夢を与えてほしい」とエールを送る。 女子1級審判員は女子の国内トップリーグや全国大会などを担当。全国でも30人程度で、これまで県内には漆畑さんしかいない。 漆畑さんは、ミニバスケットボール、ソフトボールなど、十和田西小、甲東中、三本木高で多くのスポーツと出合った。日本女子体育大に入学し選んだのは、小学4年で1年間だけやったサッカー。先輩に誘われ、愛好会をつくった。1、2年生計11人での船出で、まずはルールを覚えるために4級審判員の資格を取得。3年生のころ部活動として承認され、4年生の時は70人を超える大所帯に育っていた。 卒業後、地元に戻り、教職を務めながら、女子サッカーチームで選手として活躍。経験を買われて審判員の活動も本格化させた。 男女の東北大会レベルの試合を担当できる2級から、女子1級に上がるまで6年かかった。「子どもたちに『夢はかなう』と言っていただけに、合格しないと示しがつかなかった」。体力、筆記に加え、実際の試合で審判を務める実技試験があり、挑戦4度目でやっと突破。34歳だった。 以降、日本各地で7季にわたり笛を吹いた。代表選手である澤穂希や宮間あや、丸山桂里奈らの出場試合を裁いたことも。試合は日曜日が多い。前日に現地入りし、試合後に帰宅すると日曜日の深夜。平日は教壇に立つ忙しい日々だった。 心がけたのは「ゲームを荒れさせず、公平にジャッジすること」。今では「プレッシャーのかかる試合ばかりだった。うまくいかないことの方が覚えてますが、反省ばかりだったからここまで続けられたかも」と笑う。 年齢や体力的な理由から、昨年11月の試合を最後に女子1級の資格を返上。満足感とともに日本トップレベルのピッチから去った。現在は2級審判員として地元を中心に活動し、選手としてもプレーを楽しんでいる。 「なでしこ」の活躍で競技人口の増加が期待されるが、女子審判員の数はまだ足りないという。女子の試合に男子審判員が加わることもある。理想は「最低限、女子の試合は女子が審判を」。だが、現実はそこまで至っていない。 「県内でも良いゲームで審判をさせてもらっているので(2級での現状に)十分満足。審判員として高いレベルのところでやってきた分、他の人に伝えられることもあると思うので、これからは後進を育てたい」と話す漆畑さん。「子どもたちには、もっとスポーツに親しんでほしい」と教育者としての思いも語った。