【ロンドン=大橋大介】信じられない幕切れだった。バドミントン女子シングルス決勝トーナメント1回戦に臨んだ佐藤冴香選手(日体大、宮城・常盤木学園高出)は強敵を相手に優位に試合を進めていたが、負傷のため無念の途中棄権となった。 第1ゲーム途中。朴柱奉監督と舛田圭太コーチがコートに入り、主審に棄権を告げた。左脚をひきずる佐藤選手の涙が止まらない。初の五輪は、負傷棄権という、つらすぎる結果で終わった。 8強入りを懸け、世界ランク7位のバウン選手(デンマーク)との試合。「一度も勝ったことがないので対戦が楽しみ」と待ちわびた一戦だった。 相手が強いほど力を発揮するタイプで、序盤から最高の出来だった。硬さはなく、フットワークは軽やか。際どいコースに決まる強打で圧倒した。1-3から6連続得点、さらに、7-4からも6連続得点。流れは完全に佐藤選手だった。 ただ、じわじわ追い上げられて焦りもあったのか。14-10の場面。レシーブするため、後ろに下がった瞬間、左膝をひねり倒れ込んだ。 「立ちます。やってみます」。舛田コーチには、そう告げたという。 いつも「自分は不器用」と話す。一部の関係者からは「ロンドンではなく4年後のリオデジャネイロの選手」とみられていた。人一倍努力してつかんだ舞台だからこそ、簡単にコートを離れたくはなかっただろう。 だが、限界だった。しばらくプレーを続けたが、「前十字靱帯(じんたい)損傷か脱臼。あれ以上は無理」と舛田コーチ。車いすに乗せられ、号泣しながら会場を後にした。 ロンドン五輪は、苦い思い出となったかもしれない。今は、泣くだけ、泣けばいい。まだ21歳。雪辱を期す舞台は何度でもある。