15日に日本武道館(東京都千代田区)で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式には県内から遺族265人が参列した。最年長は92歳、最年少は38歳で、戦没者の配偶者の参列は昨年に続きなかった。子の参列が149人と、半数以上を占めた。  県の遺族を代表して相模原市中央区の清水琢雄さん(79)が黄菊を献花した。清水さんの父清蔵さんは1945年4月、出征先のフィリピンで戦死した。42歳だった。頭に銃弾の直撃を受けて即死した、と聞かされた。遺骨は今も戻らない。  仕事の傍ら、陸上競技団体の役員として活動したスポーツ好きの父だった。「今年はロンドン五輪があった。天国から声援を送ったんじゃないかな」と思いをはせ、「スポーツが楽しめるのも平和があってこそ。戦争は絶対、やってはいけない」と力を込めた。  県から参列した遺族で最年長の横浜市南区の山田茂さん(92)は兄弟3人を亡くした。「世界では絶え間なく戦争が起きている。どうして人間同士が戦わなくてはならないのか」と自問。「国のために命をささげた人たちに敬意を表すことから始めないと。靖国神社への参拝を政治問題にするのは間違っている」と指摘した。  小田原市から参列した女性(81)は兄をニューギニア戦線で失った。日中戦争で負傷、いったん日本で療養したが、家に戻ることなく、再び戦地に向かい帰らぬ人となった。「あんな不幸な経験は二度としてほしくない」と願う。若者に伝えたいことがある。「為政者がひとつ間違えると、みんなが苦しむ。間違いは起きるが、流されることなく、声を上げてほしい」 ◆県の式典に150人  県内でも15日、県戦没者追悼式が横浜市港南区の県戦没者慰霊堂で開かれ、遺族ら約150人が故人の冥福と平和への思いを込め、献花した。県遺族会(譲原武彦会長)の主催。  譲原会長は「何の迷いもなく出征し、尊い命を祖国にささげた戦没者を思うと、万感いまなお胸に迫る。悲惨な戦争、悲しい歴史を二度と繰り返さないことを誓う」とあいさつ。  黒岩祐治知事は「戦後生まれが県民の大半を占める中、教訓として決して風化させることなく、戦争の悲惨さと平和の尊さを次の世代に継承させていく」と呼び掛けた。  列席者は正午の鐘に合わせて黙とう。一人一人が神妙に献花した。  出征した3人の兄を亡くしたという横浜市戸塚区の三橋桓さん(80)は、「両親のがっかりした姿を、今でも覚えている。二度と家族に悲惨な思いをさせたくない」と不戦への思いを語った。