【ロンドンで本社・松田啓志】12日に閉幕したロンドン五輪。県勢は「金」2、「銀」3のメダルラッシュに沸いた。レスリング女子63キロ級で伊調馨(28)=八戸市出身、長者中−中京女大付−中京女大出、ALSOK=が日本女子初の五輪3連覇、同48キロ級の小原日登美(31)=八戸市出身、八工大一−中京女大出、自衛隊=は初の金メダルを獲得。アーチェリー男子個人で古川高晴(27)=青森市出身、青森東−近大、近大職=、卓球女子団体で福原愛(23)=青森山田出、ANA=、バドミントン女子ダブルスでは藤井瑞希(24)、垣岩令佳(23)=ともに青森山田出、ルネサス=が銀メダルを手にした。県勢のメダル5個は、一大会で過去最多。大舞台で輝いた選手たちの言葉で、それぞれの軌跡をたどった。 ◇「3連覇したんだな、って感じ。3回も五輪に出て、年食ったんだなともあらためて思った」 勝利の瞬間、伊調馨に涙はなく、ただしみじみと振り返った。 北京五輪後、姉の千春さん(30)は引退。自らはさらに、レスリング道の追究へとひた走った。今大会は初戦で難敵を退け波に乗ると、決勝でも攻めのレスリングを展開。男子との練習で磨いてきた両足タックルが決まったのが、成長の証しだった。 現役続行は明言していないが「頑張れたらやるかも」と言うところが自然体の彼女らしい。4年後は32歳。さらに努力を重ね、4連覇へと突き進むのか。 ◇「どんなことでも諦めずに頑張れば夢がかなうということを、みんなに伝えることができた」 小原日登美は目に涙をため、これまでの苦難を振り返った。膝のけが、うつ症状、引退を乗り越えカムバック。最初で最後の五輪を有終の美で飾った。48キロ級で活躍しながら姉の五輪出場にバトンを託した妹・真喜子さん(26)、苦しい時期を支えてくれた父・清美さん(57)、母・万理子さん(56)、最愛のパートナーの康司さん(30)。みんなの思いが詰まったメダルに、感無量といった様子だった。今後は「おろそかだった主婦業を頑張りたい」と、引退して第二の人生へと踏み出す。 ◇「期待されてきた分、今まで両肩に重圧がかかっていたけれど、今は首が重い」 古川高晴は表彰式で首に掛けてもらったメダルを、うれしそうに見詰めた。ヤマ場は準決勝。オランダ選手との延長戦で、的の真ん中の10点満点に命中。勝利が決まると力強いガッツポーズが飛び出た。日本出発前、「アーチェリーはマイナースポーツ。競技の普及のためにもメダルを狙いたい」と言っていた青年が有言実行。「銀」を射止めて見せた。 ◇「メダルは被災地の子どもたちとの約束。早く帰って見せてあげたい」 東日本大震災で被害の大きかった宮城県出身の福原愛は、古里への思いが言葉にあふれた。卓球界悲願のメダルへ、チームをけん引した功績は大きい。今後は痛めている右肘の治療に専念するという。 ◇「楽しく、笑顔でプレーし続けることができた」 顔を見合わせ、うれしそうに口をそろえたのは藤井瑞希、垣岩令佳。終始息の合ったプレーで、「オグシオ」(小椋久美子、潮田玲子組)ら先輩たちができなかった決勝進出を果たした。 一方、メダルに届かなかった他の県勢たちは、言葉に無念さがにじんだ。 ◇「めっちゃ悔しい。もう一回レースをやりたい」 陸上女子5000メートル予選の直後、福士加代子(30)=板柳町出身、五所工出、ワコール=は、息を切らして報道陣の前に現れた。1万メートルは10位に終わり、5000メートルに懸けていたものの、決勝進出に3秒届かなかった。今後、本格的にマラソンに挑むのか。陸上界きっての人気者の動向が注目される。 ◇「応援してくれた人に、ただただ申し訳ない」 陸上400メートル障害で期待を集めた岸本鷹幸(22)=むつ市出身、大湊−法大=は予選でまさかの失格、報道陣の前で何度も頭を下げた。大会直前に痛めた左太もも肉離れの影響が大きく、最後は左脚をかばいながら、けんけん跳びをするようにゴールに飛び込み、へたり込んだ。「世界を驚かせる」と意気込んでいた走りは、不発に終わった。 ◇「日本を背負ったラストで負け、今までで一番悔しかった。実力がなかった」 卓球男子団体に出場した丹羽孝希(17)=青森山田=にとっても、初の五輪はほろ苦かった。準々決勝の香港戦で最後に登場したが、力及ばず落胆。目標としていたメダルに届かなかった。 ◇「申し訳ない。結果がすべて」 同じく卓球男子団体と個人に出場した、日本のエース水谷隼(23)=青森山田−明大、スヴェンソン=も、表彰台に上がれなかった責任を背負い込んだ。