「杏南(あんな)!杏南!」。ロンドン五輪の陸上女子400メートルリレーに出場した土井杏南選手(16)=埼玉栄高二年=の地元・朝霞市では十日未明、中央公民館でパブリックビューイング(PV)が開かれ、約二百人が声援を送った。予選通過は果たせなかったが、土井選手の力走に「この経験を次の五輪で生かしてほしい」と期待が膨らんだ。 (上田融、前田朋子)  午前四時すぎ、第一走者の土井選手が姿を見せると、公民館の会場は大きな拍手に包まれた。低い姿勢から好スタートを切ると、歓声はピークに。「いけー」「負けるなー」と声援が飛んだ。  だが日本は第二走者からライバルたちに離され、最下位の八着に沈んだ。  土井選手の祖母の土井かよ子さん(74)は「ドキドキしながら夢中で見ました。今回はビリだったけど、四年後にもう一度やってくれると思う。帰国したら『よくやったね』と言ってやりたい」と、孫娘を思いやった。  会場には土井選手の母校、朝霞一中の当時の後輩たちや同級生も詰め掛けた。  陸上部の一年後輩で、土井選手とリレーチームを組んで中学日本一になった経験がある笹川遥菜さん(16)は「すごい先輩。タイムを上げ、次の五輪では個人でも出場してほしい」。陸上部OBで同じ学年だった小寺一輝さん(16)は「自分もいつかは同じ舞台に立てるよう頑張りたい」と刺激を受けていた。  「応援してねー。最高の走りをしてくるから」。レース直前に土井選手からそんなメールを受け取った杉浦里奈さん(16)は「お疲れさまと言ってあげたい。帰国したら一緒にディズニーランドに行きたい」と笑った。     ◇  埼玉栄高(さいたま市西区)の鈴木宏昭校長によると、普段の土井選手は「まったく普通の子」。陸上の日本選手では戦後最年少の五輪出場となり、五輪前からメディアの取材も殺到したが、全く動じない土井選手の心臓の強さに、たびたび驚かされたという。  鈴木校長は「全力を出し切り、さわやかだった。帰ったら『よかったよ』と声を掛けたい」とねぎらった。