吉田選手の五輪3連覇達成に歓声を上げる市民ら。右端手前は兄の勝幸さん=津市の一志農村環境改善センターで  三たびの栄冠に、県内も熱狂に包まれた。ロンドン五輪レスリング女子55キロ級で、日本人三人目となる五輪三連覇を成し遂げた津市一志町出身の吉田沙保里選手(29)。十日未明まで試合を見守った地元では喜びと興奮に沸き立ち、快挙をたたえる声が相次いだ。  津市一志町田尻の一志農村環境改善センターでは九日夜から翌日未明にかけて市民観戦会が開かれ、五百人が声援を送った。  おそろいの黄色やオレンジ色のTシャツ姿で床に座り込み、舞台に映される映像で観戦してスティックバルーンを打ち鳴らす。「サ・オ・リ、サ・オ・リ」。掛け声は午前三時すぎの決勝で最高潮に達した。  硬い表情で最前列に陣取るのは、吉田選手の兄勝幸さん(34)。周囲と対照的に身じろぎもせず、吉田選手のタックルのたびに小さくうなずく。金メダル獲得を告げるホイッスルを聞いて、ようやく笑みがこぼれた。「最後の瞬間まで、逆転されるかとヒヤヒヤで。本当にすごい妹ですよ」  会場の市民は総立ちで拍手し「やった」「おめでとう」の歓声。偉業をたたえる横断幕が掲げられ、くす玉が割られる。中学時代、吉田選手と同じ陸上部に所属した別府彩さん(28)は「三度の五輪で一番のドキドキ。感動をありがとう」と興奮した面持ち。  吉田選手の母幸代さんと親しい松田朝美さん(56)は準決勝から号泣。「やっぱり金しかない。旗手は金メダルが取れないというジンクスを覆してくれた」。ねぎらいの言葉を話すたび、また涙がこみ上げた。  舞台の映像には、レスリングを教えた父勝栄さんを肩車する吉田選手も映される。勝栄さんと地元の子にレスリングを教える奥野竜司さん(48)は、娘の里菜さん(16)と観戦。竜司さんが「きょう一番の笑顔を見ることができてよかった」と言えば、レスリングを習う里菜さんも「四年後は一緒に五輪に出場したい」と目を輝かせた。 金メダルを胸に声援に応える吉田沙保里選手=エクセルで(川柳晶寛撮影)  表彰式後のインタビューで「皆さんのおかげでこのメダルがある」と答える吉田選手。歓喜の余韻にひたる会場は、再び大きな拍手に包まれた。  (加藤弘二、住彩子) ◆知事が県民特別栄誉賞授与へ  鈴木英敬知事は十日のぶらさがり会見で、吉田沙保里選手に県民特別栄誉賞を授与する考えを示した。吉田選手への同賞の授与は二回目。  吉田選手は二〇〇四年のアテネ大会で優勝したことを受け、県民栄誉賞を受賞。〇八年の北京大会の優勝時には県民特別栄誉賞を受けている。  鈴木知事は「私も感動と言葉に尽くせぬ興奮を覚えた。吉田選手の内側に秘めた闘志、妥協を許さない姿勢は県の宝で、さらなる活躍に期待している」と話した。   (渡辺泰之)