【ロンドン=古家政徳本社記者】8日のロンドン五輪陸上男子やり投げで、予選突破したディーン元気選手(20)=早大3年=。傍らのコーチボックスで共に戦った専任コーチの田内健二さん(36)=中京大講師、関高出=は「無事によくやってくれた」と及第点。「彼はいつも私の予想を良い方に裏切ってきた」と決勝でのさらなる躍進に確信をにじませた。  ディーン選手との出会いは2009年。全国高校体育連盟主催の強化合宿に講師として招かれた時。「彼はやりを投げ始めて2年目の高校2年生。第一印象はとにかく下手くそ」と笑う。「一方でしなやかな腕の振りは常人離れしていた。下半身の動きさえ直せば良くなると感じた」。  そして全国高校総体と国体のタイトルを引っ提げ当時教えていた早大に入学してきた未完の大器に、培ってきた技術理論を惜しみなく注いだ。指導を始めてわずか2年半で記録は約14メートルも向上。「当初はリオ五輪までに80メートルを超えれば、と考えていた。でも(好調時の)投げは、すでに完成形に近い」と、4月に日本歴代2位の84メートル28を飛ばした若き才能に目を細める。  田内さんがやりを初めて持ったのは関高2年の時。「幅跳びで記録が思うように伸びず、中学まで軟式野球をやっていたからというだけで始めた」。だが中濃地区総体を53メートル台の大会新記録で制すと、自らの適性を悟った。翌年から本格的に取り組み始めインターハイ、国体にも出場。その道を追及しようと、猛勉強して一般入試で筑波大に進み、ほぼ独学で飛距離を伸ばした。「当時大学にはやり投げ専門の指導者はいなかったが、専門とする男子選手が10人くらいいて。インカレ上位入賞レベルの70メートルを投げても(部の代表として)試合に出られなかったぐらい」。ハイレベルな競争を勝ち抜くために試行錯誤を重ねそれが指導者としての素質を磨いていった。筑波大院生だった1998年に樹立した73メートル97はいまだ県記録として残る。「自分が強くなっていったプロセスが指導の根幹にある」。  「第2、第3のディーン、世界に通用する選手を育てていくことが自らに課せられた使命」。そのためにもまずディーン選手を世界トップレベルに押し上げることが今の目標だ。「4月よりも今の方が体調は良い。完成形の投げが出ればやりはおのずと飛ぶ」と11日の決勝を見据える。