「チャンスをもらった世界のステージで思い切り走ってほしい」。ロンドン五輪陸上女子四百メートルリレーの日本の出場権獲得で、五輪代表入りが三日決まった埼玉栄高二年の土井杏南(あんな)選手(16)=朝霞市在住。レースに出場すれば陸上では戦後最年少となり、土井選手の家族や恩師は快挙を喜び、エールを送った。 (上田融、池田友次郎)  「夢にまで見た舞台。本人にはとにかくおめでとうと言いたい」。土井選手の父哲さん(45)は本紙の取材に語った。  家族によると、小さいころから空手や水泳など運動は何でもできた。負けん気が強く、車に乗る時も「私が一番!」と助手席を譲らなかったという。  小学五年で始めた陸上で頭角を現し、陸上部で定評があった朝霞一中に入学。顧問だった田嶋光雄さん(52)は「最初に見た時から子どもの走り方じゃない」と実感した。中学二年の時、全国大会で百メートルを制し、リレーも中学新記録で優勝した。  実績を積み重ねても鼻にかけず、「にこにこしていて、とにかく素直。指導にも『はいっ』と返事して実行する」と田嶋さん。一方、自分なりに加工して吸収する鋭さもあるという。  周囲への心遣いもこまやかで、遠征先でも恩師への手土産も欠かさないが、そんな土井選手が先月の日本選手権百メートルで福島千里選手に敗れた時、「悔しい。もっと強くなりたい」というメールをかつての恩師に送った。福島選手も特別視しない気持ちの強さも持ち合わせている。  田嶋さんは「競ることが楽しいようで、悲壮感がない。自分の教え子が世界に挑戦するなんて夢のよう。すごくいい思いをさせてもらっている」と目を細めた。  土井選手の会見があった埼玉栄高では、午後六時すぎに五輪代表決定の知らせが入り、土井選手は「長い一日でした」と苦笑い。陸上部の同級生五人がクラッカーで「おめでとう!」と祝福し、吉田実結さん(16)は「去年から言っていた目標を達成し、さすが。元気をもらえる走りを見せてほしい」と話した。  女子四百メートルリレーでは、埼玉栄高、平成国際大出身で富士通所属の高橋萌木子(ももこ)選手(23)の初の五輪代表入りも決定。埼玉栄高陸上部の清田(せいた)浩伸監督は「感無量です。自分の教え子が二人も五輪に行くなんて…」と声を詰まらせた。