いやあ、まさに壮観でした。屈強で頼りがいがありそうで、しかもオーラがあって…。こんなボディーガードがいたら絶対に襲われないだろうなという4人が柔道男子100キロ超級の準決勝にコマを進めました。五輪の柔道競技のトリを務めるにふさわしい顔ぶれでした。  世界選手権4連覇で204センチのテディ・リネール(フランス)、11年前に世界選手権で2冠を達成した32歳のアレクサンドル・ミハイリン(ロシア)は195センチ。韓国の若手、金成民もしっかり顔を出し、リネールの好敵手、アンドレアス・テルツァー(ドイツ)はいかつい顔でした。  大相撲でいえば、まさに千秋楽に相星で並ぶ横綱、大関陣と同じです。リネールが試合場の畳へ向かう“花道”をのっしのっしと大股で歩く。フランス国旗を持ったファンも、そうでない人からも、自然と大きな拍手が湧き起こります。他の3選手も同じです。それは4年に一度行われる柔道の世界最強決定戦ベスト4に残った猛者への称賛なのです。  記者席にいた私は鳥肌が立つほどに興奮しました。思わず「うわあ…」とため息を漏らすとともに「ここに日本人が割って入り、死闘の末にリネールを破って優勝したら、どれだけ日本人として誇らしいか」とも思いました。柔道界にも日本人横綱はいないのです。  日本の男子がついにひとつの金メダルも奪うことができませんでした。7階級のうち半分以上は決して世界に見劣りしないメンバーなのに、決勝では外国人に歯が立ちません。食うか食われるかでやってくる外国人の面構えはいかにも武骨でたくましく、かたやロンドン入り後も「マルチサポートハウス」で日本食ばかりを食べて守られている日本人選手とは闘う覚悟が違いました。  次の五輪では男子100キロ超級の4強そろい踏みに日本人が名を連ねてくれるでしょうか。あっさり敗退した上川大樹のそばを歩くのは井上康生コーチ。スーツの下から浮かび上がる分厚い胸板と背筋は健在ですね。100キロ級で五輪と世界選手権を圧勝した「世界のコーセイ」がとてつもなく懐かしく感じました。(ロンドン共同=田井弘幸) ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)