「チャンスは何度でも 君のそばに」。ロンドン五輪柔道の78キロ超級で銀メダルを獲得した杉本美香選手(27)はけがに泣かされ、何度もどん底を経験した。そんな娘に母は励ましの曲を見つけ、電話越しに聞かせた。母の支えに奮起して挑んだ五輪で快進撃を見せた。 伊丹市出身。市立鴻池小5年生の時に、友達に連れられて行った道場で鮮やかな技を目の当たりにして、いっぺんにとりこになった。「女の子が柔道なんて」と反対する両親を1カ月かけて説得して、父啓次さん(56)にとうとうOKをもらったときの約束は「絶対やめない」だった。 6年生のころ学校の図工の時間に描いたのは、五輪で日の丸がついた柔道着を身につけ、目から炎を上げて相手と組む自画像だった。 最初の大けがは小学校卒業直後の練習中に負った鎖骨骨折。小学校時代の恩師で接骨院を営む森下高明さん(69)は「辛抱強くなるんだよ」と語りかけた。だが、その後、何度もけがに苦しむ教え子を目の当たりにして「柔道を勧めてすまんかったな」といたたまれない気持ちになったほどだった。 「けがをしませんように」。両親は神社にお参りをして娘の無事を祈ってきたが、北京五輪に向けて練習をしていた大学4年の時、膝の靱帯(じんたい)を断裂する大けがを負った。気持ちまで切れそうになった娘のために、母維久子さん(56)が贈ったのは、カーラジオでたまたま耳にして「歌詞が美香にぴったり」と感じた馬場俊英さんの「スタートライン~新しい風」という曲だった。 電話口で聞かされ、杉本選手は「お母さんも一緒に闘ってくれてるんやな」と涙が止まらなかった。「もう少しだけ前に進もう」と気持ちを切り替えることができた。 最近は、自分と同じようにけがで苦しんだり、スランプで落ち込んだりしている仲間に、曲を選んでプレゼントしている。「その人が笑顔になれば、私もうれしい」(共同) ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)