ロンドン五輪第4日の30日、フェンシングの女子エペ個人で、越前市出身の中野希望(26)=大垣共立銀行、世界ランキング36位=は初戦の2回戦で同7位のイタリア選手に11—15で敗れ、ベスト16入りはならなかった。 序盤から互いに点を奪い合う展開となり、第1セットを3—3で終えると、第2セット終了時には8—10と中野が2点を追う形となった。 最終の第3セット、出だしは中野が一瞬のスピードを生かして脚を突き1点差としたが、その後、相手も互いに見合う場面から一気に懐に飛び込む技で得点を重ねた。 中野は女子エペ個人でただ一人の日本代表。4月のアジア・オセアニア最終予選を勝ち抜いて初の出場切符を手にした。同種目にエントリーした37人中、世界ランクは26番目だった。 中野は武生商高で競技を始め、これまでに全日本選手権を2度制覇。2010年アジア大会で個人銀、団体金に輝いたほか、今年6月のワールドカップ(W杯)GP中国大会などW杯個人で2度表彰台に立っている。【成長実感、次の五輪へ経験生かす】中野が繰り出す剣が輝いた。伸び盛りの世界7位のイタリア選手と、絶対の自信を持つフットワークで互角に渡り合った。武生商高で競技を始めて10年余り。日本のエースは、世界最高峰の舞台で攻めの姿勢を崩すことはなかった。 「すいません、勝てませんでした」。試合後、報道陣の前に現れた中野はさわやかな表情だった。相手とは今年3月のワールドカップで対戦し5—15で敗戦。今回、自ら「ぎりぎりの試合だった」と振り返る激戦に、充実感も見て取れた。 「(世界ランクが中位の)自分ははい上がるだけ。守りに入る相手を突きにいく」。試合前、自らに言い聞かせた。しかし向こうも引き下がることなく、互いに突きにいく展開に。「得意の小手や脚は注意していたが、アタックに何度もやられた。突っ込んでくるタイプではないのに」。相手の戦略が上だったことを認めざるを得なかった。 初の五輪。前回の北京は予選代表に選ばれず「これまでで最も悔しい思いをした」。当時、日本勢で世界ランク2番手。「自分が悪い」と納得するしかなかった。 その後、ウクライナ人コーチ、ゴルバチュクとの出会いが競技人生の大きな転機となった。勝ちたい気持ちをもっと前に出せ—。世界を相手に、どん欲に勝ちにこだわる意識を植え付けられた。細かいテクニックの練習でも「きれいな形はいらない。どれだけ早く突くか」(中野)。全ては勝利のため、習得する技も実戦に生かせてこそ、との思いを強めた。 コーチの下、フェイントを交えた脚突きや小手を狙う得意のスタイルに磨きを掛け、新たな技も身につけた。 大学2年でナショナルチーム入りした当時、「海外から見れば日本は試合で当たれば『ラッキー』。会場では日本選手だけで隅に固まっていた」。今や自身を含め、日本選手の成長ぶりを海外勢がうかがっていることを実感する。 それでも「勝たないと意味がない」と中野。「次のリオにつながる試合だと思う」。4年後へ、この経験を必ず生かすつもりだ。 ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)