【ロンドン=古家政徳本社記者】カヌー・スラローム女子カヤックシングルの海渕萌(トヨタカローラ岐阜)は予選を2日後に控えた28日、会場のホワイト・ウオーター・センターで公式練習に参加。本番のコースで割り当ての1時間に4度、漕(こ)ぎ下った。「自分のレースがしたい。相手どうこうじゃなく、とにかく今の自分を全て出し切るだけ」。引き締まった表情で間近に迫った夢舞台でのレースを見据えた。  自分自身と戦い続けてきた4年間だった。「(他の)人と比較するのはあまり好きじゃないから」。北京五輪4位の竹下百合子(キッコーマン)ら同種目の好敵手を意識せず、しっかりと地に足を付け「五輪という夢の実現に向け、自ら思い描いたビジョン」だけを見つめてきた。国内大会を主に戦っていた駿河台大時代と一転し、社会人では海外での練習を多く取り入れ、昨年は代表合宿も合わせれば半分以上を国外で過ごした。  「自分のやりたいようにカヌーに打ちこめているのは、全面的に理解し応援してくれている会社のおかげ」。そんな感謝の念を絶えず胸の内に置き、発展途上の自らと誠実に向き合ってきた。  周囲は安定感が強みと口をそろえる。「騒いだりせず、おっとりしている。でも頑固。表情の奥に秘めたものがある」と馬場昭江コーチ。決して安穏としているのではない。意識して常に自らに集中しているとすら言える。そしてそんな姿勢が結実したのが、昨冬のアジア選手権。日本人最高位で五輪切符をつかんだ要因を「結果を考えず、ただ今の自分を出し切ろうとした姿勢」と言い切る。  ロンドン五輪に向けて新設された人工のコースは、複数の大きな落差や鋭角に曲がるコーナーなど全長300メートルの随所にトラップが仕掛けられて難度は高い。「確かに難しくやりがいのあるコース。でも置き換えればそれは、どの選手にとっても同じ」と一言。「自分とのフィーリングは合っている。4月から定期的にこのコースで練習して培ってきたテクニックを思い起こし、自分自身に挑みたい」。競うのは予選に出場する他の20選手ではなく、自分自身だ。 ...[記事全文](this.kiji.isドメインへ遷移)