吉田沙保里が55キロ級で優勝し、前日の伊調馨(63キロ級)に続いて五輪3連覇を達成した。女子レスリングの日本は48キロ級の小原日登美と合わせ、実施4階級のうち3クラスを制したことになる。  ▽原点回帰  会心の勝利を飾り栄監督らの元へ戻ってきた吉田は、ちょっと小太りの男性をやおら担ぎ上げた。3度目の五輪で初めてセコンドについた父親の栄勝コーチ(60)を肩車した。栄勝さんは元全日本チャンピオンで、3歳の時から娘にレスリングを手ほどきした。  指導ばかりでなく相談相手も務めてくれたその恩人に、V3成就の感謝の気持ちを表したかったのだ。  昨年の世界選手権で9連覇を成し遂げたものの、決勝戦でバービーク(カナダ)に自慢のタックルを返された。ショックを受け戦法の改良に取り組んだが、納得のいく成果が得られない。そしてこの5月、国別対抗戦のワールドカップでは迷いの出ているところをつかれ、ロシアの19歳、ジョロボワに敗れた。五輪を間近に控えた時点で喫した4年ぶりの敗戦に、自信は大きく揺らいだ。栄監督らと深刻な話し合いの末たどり着いたのが「やっぱりタックルしかない」の結論だった。  ▽手堅い攻め  この日は手堅い攻めが目立った。勝機を見極め、タックルに入った際はしっかりとポイントを稼いだ。準決勝でジョロボワに勝って初めてガッツポーズ。そして決勝はバービークと因縁の相手との対戦が続いたが、全く寄せ付けなかった。結局4試合を通じて相手に1ポイントも許さなかった。  前夜は不安にさいなまれ「初めて眠れなかった。目をつぶると相手の顔が浮かんできた」そうだが、「試合はやるしかないと無心で闘えた」と振り返った。戦略に沿って冷静に試合を進める。さすが百戦錬磨の強者である。  ▽涙なしの快挙達成  偉業につきものの涙はなかった。「最高の笑顔で終わりたいと言っていたし、心から幸せと感じたから」と晴れやかな表情を見せた。世界選手権と合わせると12連覇。男子グレコローマンスタイルで人類最強と言われたカレリン(ロシア)の記録に肩を並べたことに関しては「光栄です」。日本レスリング協会の福田会長は「日本の金メダルの半分以上をレスリングが取っている。3人とも素晴らしい」と鼻高々だった。 (文責 47NEWS 岡本彰)